【エコキュート交換工事施工例】壁掛けヒートポンプ×室内の貯湯タンクを交換!

弊社の業務や施行例を紹介するこのコーナー。今回は、宮城県気仙沼市のK様邸で行ったエコキュートの交換工事の様子を紹介します。設置場所が大変珍しく、弊社でも初めての事案でしたが、これまでの経験から培った知見を活かして対応することができました。

<交換工事概要>

【交換前設置EQ】

メーカー:コロナ

システム型式:CHP-H3712AK

貯湯ユニット型式:CTU-H3712AK

ヒートポンプユニット型式:CHP-452K

製品タイプ:角型 > フルオート > 標準圧 > 370


【交換EQ】

メーカー:ダイキン

システム型式: EQ37VFHV

貯湯ユニット型式:TU37VFHV

ヒートポンプユニット型式:RQW45UAHV 

製品タイプ:角型 > フルオート > 高圧 > 370

目次

震災の爪痕が残るご自宅

今回エコキュート交換工事のご相談を頂いたのは、宮城県気仙沼市にお住まいのK様。弊社では新型コロナウイルス感染予防対策やコストカットの観点から、お問い合わせ後、お客様ご自身に設置場所や搬入経路の撮影をお願いしています。その写真をもとに見積りをお出しするのですが、K様からお送り頂いた現場の写真を見て一同ビックリ!

壁掛けヒートポンプ×室内の貯湯タンクを交換

ヒートポンプが宙に浮いています…!!

なんと、こちらのご家庭では、大気中の熱を取り込むヒートポンプはご自宅の外壁(2階の高さ)に、お湯を排出する貯湯タンクが屋内に設置されていたのです。

さらに、鉄筋コンクリート造のK様のご自宅は1階の大部分が駐車スペースになっており、2階に玄関がありました。じつはこれらのご自宅環境には、お住まいの地域が大きく関係していたのです。

ご自宅の廊下に貼られていた「地震津波浸水図」

K様のご自宅があるのは、宮城県気仙沼市。昭和三陸津波やチリ地震津波など、これまでに何度も津波の被害を受けた三陸沖の地域です。過去の経験から、このエリアには高床式の構造や敷地をかさ上げした住宅が目立ちます。K様のご自宅も居住スペースを上の方に設けられているようでした。

K様のご自宅の外壁には、2011年3月の東日本大震災による被災の跡もはっきりと残されていました。外壁の色が変わったラインを見つめながら、「ここまで水がきたんだよ」と教えてくれたご主人。その高さは1mを容易に超えていました。

 

今回交換することになったエコキュートは、震災当時も使っていたものだそう。ご自宅の外壁に設置されていなければ、この日までこのエコキュートを使い続けることができなかったのは言うまでもありません。「このエコキュートは、ご近所さんの室外機が全滅してるなかで唯一無事だったんだ」と、感慨深そうに教えてくれました。 
 

こうして長い間、大切に使われたエコキュートが水漏れを起こしたということで、今回は新しいものに交換させて頂くことに。これまで使用されていたエコキュートは、コロナ「CHP-H3712AK」の角型フルオートタイプ。そして新しくダイキン「EQ37VFHV」の角型フルオートタイプのエコキュートを設置することになりました。

壁掛けヒートポンプを交換

それでは早速、交換工事の様子を紹介していきます。まずはヒートポンプの交換から。ヒートポンプの設置場所は、ご自宅の外壁(高さ2階相当)で、住居脇の細い通路から搬入・作業をします。

通路の幅は、ちょうど大人一人が通れるくらい。ヒートポンプ本体や、周りの壁などを傷つけないように慎重な作業が求められます。

まずは、ヒートポンプ本体の両脇にハシゴを設置。作業しやすいようにハシゴを固定します。

次にヒートポンプ本体にラッシングベルトを巻きつけます。

約80㎏の本体を下まで慎重に降ろすため、今回は電動ウインチを使うことにしました。

電動ウインチは屋上からセット。住宅に傷がつかないようクッション材を敷いた上に、電動ウインチを取り付けたハシゴを用意します。

電動ウインチの先がヒートポンプ本体にセットされたら、いよいよ吊り下げ作業開始です。

水平を保つため1人がハシゴを支え、もう1人が電動ウインチを操作しています。

ヒートポンプ本体が周りの壁や電線にぶつからないように、両脇から手で支えながらゆっくり慎重に降ろします。

数分後、ヒートポンプが無事地上に!

震災を乗り越えて活躍したエコキュートがついに運び出されました。

 

今回長い役目を終えたヒートポンプは、コロナ「CHP-452K」。このエコキュートは2003年モデルで、寒冷地仕様のエコキュートとしては初めての製品かもしれません。これまでに2回修理されたと伺いましたが、大変長い間活躍したことがわかります。お湯はりから保温までをすべて自動で行ってくれる「フルオート」タイプは、当時としては画期的でした。

古いエコキュートが運び出されるとすぐに、新たに設置されるヒートポンプが運び込まれました。こちらは、ダイキンの「RQW45UAHV」です。

最大の特徴は、寒冷地仕様では珍しい高圧型。「パワフル高圧」とされる同エコキュートの水圧は320kPa。これまで利用されていたヒートポンプの水圧が170kPaだったので、約2倍の水圧になります。設置後、これまでより水道圧力が増えたと、お客様は大変喜んでくださいました。


ここからは、このヒートポンプを設置位置まで吊り上げて固定していく作業です。

上空で設置作業がしやすいように、本体底面に付いている段ボールをカット。両端だけの状態にしました。

先程と同様に、ヒートポンプ本体にラッシングベルトを巻きつけて保護用のクッションマットで覆ってから電動ウインチをセット。

両脇から本体を手で支えながら少しずつ吊り上げていきます。

本体が設置位置まで上がったら、底面を固定していきます。

無事に、新しいヒートポンプの設置完了です。

室内貯湯タンクを交換

まずは通常通り、水抜きや電気配線、配管の取り外しを行います。

貯湯タンクが搬出できる状態になったら、いよいよ本体を運び出します。

貯湯タンクが設置されているのは、エコキュートの設置を目的として設けられた個室。本体がギリギリ収まるスペースに設置されているので、数センチの可動域を確認しながらスタッフ総出で少しずつ搬出していきます。

設置場所を抜けたあとには、さらなる難所が! 玄関が2階にあるので、外に搬出するためにはこの階段を降りる必要があるのです。

貯湯タンク本体の重さは、水抜きをした後でもおよそ100kgあります。とくに旧タイプのエコキュートは重いのです。

交換前の貯湯タンク・コロナ「CHP-452K」の搬出が完了したら、今度は新しい貯湯タンクの搬入です。運び入れるのは、ダイキンの「TU37VFHV」。

本体に傷が付かないように段ボールのまま慎重に運び入れます。

本体を屋内に運び終えたら、設置前に「ろう付け」をします。ろう付けとは、ガスを使った溶接の一種。銀ろうなどのろう材を一種の接着剤として用いるので、母体を傷つけることなく接合できるのが特徴です。これまで使用していたエコキュートとは異なるものを設置する場合に、ろう付けを行うことにより、配管と貯湯タンク本体の接合が可能になります。

今回は床下からの配管が短かったため、銅管と銅管を接続するためにろう付けを行うことになりました。

次はアンカーボルトを打ち込みます。貯湯タンクが梱包されている段ボールは、アンカーボルト位置や配管・配線の立ち上げ位置の型紙として使用できるようになっているので、段ボールの位置に合わせてドリルで穴をあけます。さらにそこにアンカーボルトを打ち込みます。

ここまでできたら、いよいよ本体を設置します。新しく設置する貯湯タンクも、交換前のエコキュートと大きさはほとんど変わりません。搬出時と同様に、ミリ単位で位置を確認しながら慎重に入れていきます。

アンカーボルトの位置に脚を合わせて降ろす必要があるので、搬出時よりさらにシビアです。だいの大人がここまで密集して真剣に作業するシーンもなかなか貴重です(笑)。

本体の設置が完了したら、電線コードや各配管の接続作業にうつります。

きちんと接続できたら、凍結しないように保温材やキャンパステープを巻いて仕上げます。この間に他のスタッフがリモコンの設置なども済ませておきました。

試運転を行い、異常のないことが確認できたら脚部カバーを付けて作業完了です。

今回は、施工場所が珍しいイレギュラーなパターンだったことと、途中一部トラブルがあったため、朝9時から14時半までおよそ5時間半に及ぶ工事となりました。少し時間はかかってしましましたが、お客様には「また安心してお湯が使える」と大変喜んで頂きました。 
弊社ではこのように難しいパターンの工事でもできる限り対応致しますので、ぜひ一度ご相談ください。

※2人以上の作業員が必要になる場合や、クレーンなどを必要とする場合は、別途工事費用がかかります。

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