「エコキュートやめたい…」ガス給湯器に戻すメリットとデメリット

エコキュートへの不満から、「エコキュートをやめたい」、「ガス給湯器に戻したい」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。
環境にも優しく、光熱費が安くなるエコキュートですが、想像と異なっていれば不満が溜まることもあるでしょう。
今回は、「エコキュートからガス給湯器に戻せるのか」ということについてご紹介します。
ガス給湯器に戻すメリットやデメリットについても解説しますので、エコキュートをやめるか悩んでいる方は、ぜひチェックしてみてください。

目次

エコキュートとは?それ以外の選択肢は何がある?

エコキュートは、電気でお湯を沸かす電気給湯器の一種です。
空気熱と合わせて効率的にお湯を沸かせる仕組みを持ち、昼間に比べて安価な深夜電力を利用し沸き上げることで、電気代を節約できます。

しかしエコキュートをやめたいのであれば、必然的に他の選択肢を選ぶ必要があります。
エコキュート同様、エコに焦点を当てた製品には、発電も可能なガス給湯器「エネファーム」や、余った熱を活用することで効率的にお湯を沸かすガス給湯器「エコジョーズ」などがあります。
他にも、ガスと電気を両方使えるハイブリッドな「エコワン」「エコウィル(販売終了)」なども有名です。
ただ、エネファームやエコワンは本体が高額で、エコジョーズもドレン配管工事が必要になるデメリットがあります。
このように、本体価格が高額であったりドレン配管工事が必要であることから、従来の安価なガス給湯機の交換を検討される方も多いと思います。

エコキュートをやめてガス給湯器に戻したいけどできるの?

エコキュート導入以前にガス給湯器を使用していたのであれば、配管等の設備を再利用することで、安価でガス給湯器に交換できます。 しかし、相応の費用が掛かり、作業も大掛かりなものになってしまいます。 安易にガス給湯器へ変更せず、メリット・デメリットをしっかり把握してから購入しましょう。

エコキュートをやめたい主な理由 7つ

  • 交換費用が高い
  • 電気代が高くなった
  • お湯がすぐ出てこない、お湯がぬるい
  • お湯切れを気にするのがストレス
  • メンテナンス費用がかかる
  • 騒音が気になる
  • 停電したら動かない

理由①:エコキュートの交換費用が高いからやめたい

エコキュートとガス給湯器の交換費用を比較すると、エコキュートの方が高くなることがほとんどです。
どちらもおよそ10年で寿命を迎えるため、「同じ10年なら、交換費用の安い方がお得なのでは…?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
実際にどの程度の差があるか見てみましょう。

エコキュートの交換費用

エコキュート交換費用の目安は、35~60万円程度です。
製品やメーカー、貯湯タンク容量などで変動しますが、最低でも35万円以上はかかると考えて良いでしょう。
10年ごとに最低35万円かかると考えると、家計への負担が少ないとは言えないかもしれません。

ガス給湯器の交換費用

ガス給湯器交換費用の目安は、15万円程度と言われています。
ガス給湯器の交換費用も、グレードやメーカー、号数などによって変わるので、おおよその金額です。
しかし、いずれにしても、エコキュートより安いのは確かです。
約1/2~1/3の費用で、新しいガス給湯器と交換できるでしょう。

理由②:電気代が高くなったからやめたい

エコキュート導入の際に、深夜電力が安くなるプランへ変更したかと思います。
実際にエコキュートは夜間にわき上げをすることで、電気代を安く抑えることできます。
しかし、深夜電力が安くなるプランの昼間の電気代は約2~3倍高く、昼間に電気の使用量が多い場合は、深夜電力プランだとかえって電気代が高くなってしまいます。
テレワークの導入や家族が増えたなど、ライフスタイルの変化によって昼間の電気使用量があがってしまうことがよくあります。
エコキュートに切り替えた際、夜間の電気代が安いプランに変更した方が多いでしょう。
夜間の電力を利用して沸き上げれば、光熱費の大幅な節約になります。
しかし、夜間の電気代が安いプランは、昼間に高くなることがほとんどです。
昼間に使用する電気が多いと、かえって電気代が高くなってしまいます。
テレワーク導入や家族の増加など、ライフスタイルの変化により、昼間使う電気が増えてしまったケースもあるでしょう。

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理由③:お湯がすぐ出てこない、お湯がぬるい

エコキュートを使っていると、お湯がすぐに出てこないのがストレスという方もいらっしゃるでしょう。
お湯がすぐ出ないのは、屋外の貯湯タンクから配管を通って出てくるためです。
加えて、配管の長さによっては、お湯が出てくるのがより遅くなり、配管を通る際にも熱が分散してしまいます。
そのため、とくに寒い地域では、お湯がなかなか出てこない上に湯温が思ったよりも低く、イライラすることもあるかもしれません。

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理由④:お湯切れを気にするのがストレス

湯量を考えて使用する点に、ストレスを感じる方もいるでしょう。
エコキュートは一度に大量のお湯を沸き上げ、少しずつ消費していく貯湯式の給湯器です。
お湯を使いすぎると再度沸き上げする必要があり、わき上げ中はお湯を使用できません。
一日に何度もお湯張りをおこなったり、シャワーを浴びたりすると、お湯切れを起こすことがあります。

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理由⑤:メンテナンス費用が気になるのでやめたい

エコキュートは定期的にメンテナンスを行うことが推奨されています。
メンテナンスを業者へ依頼すると1~2万円かかることもあります。セルフメンテナンスが可能なものの、こういった作業が苦手な方は業者へ依頼することになるでしょう。
それならばエコキュートやめたいと考える方もいるかと思います。
しかし、ガス給湯器にも法定点検という1万円ほどの費用が掛かる点検があります。
ガス給湯器は日々のお手入れもシンプルですが、切り替えたからといって必ずしもメンテナンス費用が不要というわけではありません。
むしろ、エコキュートはセルフメンテナンスが行えればメンテナンス費用は不要です。

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理由⑥:騒音が気になるのでやめたい

エコキュートは沸き上げの際に、ヒートポンプユニットから約12~13Hz程度の低周波音が発生します。また、ヒートポンプ付近に物や壁がある場合、低周波音が反響したり共振がおこることで、騒音に近しい音になることがあります。
それでもエアコンの稼働音よりも静かなため、気にするほどの音ではありませんが、ご近所トラブルになるのではと心配する方もいるかとおもいます。
実際に騒音問題として訴訟されたケースもあり、音が気になる方はエコキュートやめたいなと考えると思います。

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理由⑦:停電したら動かないのでやめたい

ほとんどのエコキュートは、停電時でも給湯可能です。
やけどに注意が必要ですが、蛇口をひねれば貯湯タンク内のお湯を利用することができます。(一部利用できない機種もあります)
しかし、沸き上げやお湯張り、温度調節などの機能は停止してしまいます。
災害時は電気の復旧は早いものの、復旧するまでは動かせません。
お湯を使い切ってしまったタイミングで停電が起きたり、停電が長引いてしまったりといった経験がある方は、今後の不安解消のためにやめたいと感じるかと思います。

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エコキュートをやめたい!ガス給湯器に戻すとどうなるの?

上記のような理由から、エコキュートをやめたいと考える方もいらっしゃいます。
ここでは、ガス給湯器に戻すメリットとデメリットを見てみましょう。

エコキュートからガス給湯器に戻すメリットは?

  • お湯切れの心配がない
  • 音を気にしなくて良くなる

お湯切れの心配がない

ガス給湯器は、エコキュートと違いお湯を貯めません。
水道水を瞬間的に加熱してお湯を作る、瞬間式のためです。
水とガスが続く限りその場でお湯を作ってくれるため、使用湯量が多い家庭でも、お湯切れの心配なく生活できるでしょう。
残湯量を気にする必要がなくなり、ストレスも軽減されるかもしれません。

音を気にしなくて良くなる

ガス給湯器は、使用時にわずかな稼動音がしますが、それ以外ではとくに音を発しません。
エコキュートと異なり、使用時以外は何の音もしないため、音に関する心配がなくなります。
エコキュートの稼働音は、例えるならば書店内程度(40db~50db程度)の音とは言われているものの、感じ方は人それぞれです。
エコキュートを隣家と近い位置や、反響する場所に設置している方ほど、騒音トラブルの不安は大きいでしょう。

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エコキュートからガス給湯器に戻すデメリットは?

  • ランニングコストが高くなる
  • 電気の使用量は減るが、ガス代が発生する
  • オール電化割引がなくなる
  • 太陽光発電との連携ができなくなる
  • 災害時のリスクがやや高くなる
  • ガス管が通っていない場合は本支管工事からスタート

交換費用は安くなるがランニングコストは高くなる

交換費用相場はガス給湯器が15万円程度、エコキュートは35~60万円程度です。
交換費用だけを比較すると、約20~45万円ほどガス給湯器の方が安いです。
しかし、エコキュート最大のメリットはランニングコストの安さにあります。
エコキュートからガス給湯器に戻すと、光熱費が年間5万ほど上がってしまうこともあります。
各メーカーのホームページに掲載されている、年間光熱費の比較を以下の表にまとめました。

スクロール

メーカーランニングコストの差額年間光熱費(エコキュート)年間光熱費(ガス給湯器)
パナソニック約54,000円約24,000円約78,000円
三菱約40,000円約29,756円約70,661円
ダイキン約49,800円約21,800円約71,600円
コロナ約34,000円約15,800円約49,800円

出典

エコキュートとガス給湯器では、どちらも寿命の10年間使うと考えると、単純計算で50万円近く光熱費に差が出てしまいます。
使い方や加入する電気料金プランなどにもよりますが、交換費用の差額も、十分に回収できるはずです。
さらに、エコキュートからガス給湯器に戻す場合は撤去費用、配管工事、ガス機器取付工事などの費用が追加で発生します。ガス給湯器へ変更する場合には、機器代金だけでなく、ランニングコストの差額、設備変更費用を含め見積もりを検討しましょう。

オール電化割引がなくなる

電力会社によって割引率は異なりますが、約5%割引されるオール電化住宅向けの割引プランが提供されています。
エコキュートをやめてガス給湯器に戻した場合、オール電化割引は適用されなくなります。オール電化住宅の方は割引額に注意しましょう。

太陽光発電との連携ができなくなる

太陽光発電とエコキュートを連携させている家は注意が必要です。
今までは電気代が高い昼間であっても、太陽光で発電した電力を使用することで、光熱費を抑えれたと思います。
しかし、ガス給湯器に交換する場合、太陽光発電との連携はできなくなると考えておきましょう。(電気とガスの両方でお湯を沸かすエネファームは連携可能)
光熱費がかなりあがってしまう可能性があります。

災害時のリスクが高くなる

災害時は、水道・電気・ガスのライフラインが途絶えてしまう状況も考えられます。
内閣府の被害想定結果によると、3つのライフラインの中で復旧日数が必要なのは「ガス」だと報告されています。

 復旧日数(阪神・淡路大震災時)※
上水道被害42日
電力被害6日
ガス被害85日

※ 95%復旧に要した実際の日数(ガスのみ80%)

出典内閣府 被害想定結果 p.34参考

上記のとおり、ガス給湯器に戻した後にライフラインが途絶えた場合、しばらくお湯が使えない日々が続きます。
エコキュートならば電気と水道が復旧すれば、自宅での入浴が可能になります。
また、ライフラインが途絶えた直後、エコキュートの貯湯タンク内に入ったお湯を取り出して、緊急用の生活用水として使用できます。
エコキュートをやめガス給湯器に戻した際は、災害時のリスクが高まると覚えておきましょう。

関連災害時に活躍するエコキュートの働きを徹底解説!

ガス管が通っていない場合は本支管工事からスタート

ガス管が家に通っていない場合、ガス管を道路から敷地境界線まで引き込む工事が必要です。
また、家の前までガス管が通っていない場合は、ガス管を延長する工事からスタートしなければなりません。
延長工事は、ガス会社や地方公共団体が一部負担してくれることもあります。
延長工事や敷地内のガス管工事等で費用が15~20万円ほどかかるほか、工事完了まで最短1ヶ月ほどかかります。
すぐにガス給湯器を使い始めることはできませんので、注意が必要です。

総合的に見るとメリットの多いエコキュートがおすすめ

総合的に考えると、エコキュートがお勧めです。
確かに、エコキュートとガス給湯器の交換費用を比較すると、ガス給湯器の方がリーズナブルです。
しかし、全体的なコストを抑えられるのは、エコキュートと言えるでしょう。
エコキュートはランニングコストを抑えられ、ガス代の基本料の増加を防げます。
また、災害時の復旧もガス給湯器より早く、貯湯タンク内の水やお湯が備えになる場合があるため、ガス給湯器よりもエコキュートのメリットは多いと言えます。

気になるお湯切れに関しても、頻繁に起こるようであれば、交換する際に一つ上の貯湯タンク容量を検討しても良いかもしれません。
音のトラブルは、交換時に設置場所を変更する等の対策がとれます。
また、ライフスタイルの変化に伴う電気代の増加も、電気料金プランを見直すことで解決することがあります。
リモートワークの普及で、昼間に安くなる電気料金プランも出ているため、エコキュートをやめなくても安く抑えられるかもしれません。

まとめ

今回は、エコキュートからガス給湯器に戻せるか、ガス給湯器に戻すメリットやデメリットなどについて解説しましたが、いかがだったでしょうか。
エコキュートからガス給湯器に戻すことは可能です。
しかし、これまでエコキュートでは当たり前だった機能・割引サービス・光熱費の節約ができなくなる可能性もあるため慎重に検討しましょう。
今抱いている不満も、交換の際に貯湯タンクのサイズを変えたり、場所を移動させたり、電気料金プランを変更すれば解決することがあります。
ガス給湯器に戻す前に、本記事で紹介したメリット・デメリットを踏まえ、ご自身のライフスタイルにあった給湯器を選ぶようにしましょう。
急湯デポは、エコキュートの交換専門店です。エコキュート交換を検討されている方は、ぜひ急湯デポへご相談ください。

この記事を書いたのは

施工管理部 大阪施工センター長

仲井 康朗

施工管理者 仲井 康朗 です。

給湯器工事に携わって10年。日々エコキュートの施工管理を行う傍ら、お客様にエコキュートの情報をお伝えする当ブログの監修もしています。

保有資格

  • 北海道 / ⻘森県 / 第二種電気工事士免状 第 164447号
  • 液化ガス設備士免状 大阪府 142762005【LPG】
  • ガス簡易内管施工士資格証 15990024【都市ガス】
  • ガス可とう管接続工事監督者講習修了証 27130129【都市ガス】県 / ⼭形県 / 島根県 / 沖縄県

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