
温泉ソムリエが教える! 自宅で楽しめる季節湯<春編>~よもぎ湯&さくら湯~
厳しい冬が終わり、草木が芽吹き始める春の訪れを感じられる季節になりましたね。そんな春を五感で感じるのにおすすめなのが「季節湯」です。古くから日本人に親しまれてきた季節湯は、自然の恵みを活かして心身を癒す効果も期待できる伝統文化です。
このコーナーでは、温泉ソムリエである私が季節ごとに自宅で楽しめる「季節湯」をご紹介。月ごとにおすすめの季節湯をピックアップし、それぞれの効能や楽しみ方、自宅で行う際の注意点について解説します。
季節湯とは?

季節湯とは、季節に合わせた薬草や花、果実などを湯船に入れて楽しむ入浴法。季節の移り変わりを感じながら自然の香りでリラックスできるだけでなく、それぞれの植物が持つ効能により健康や美容にも良い影響が期待できます。
季節湯の起源は古代日本の禊(みそぎ)の文化と、中国から伝わった薬湯の文化が融合したものと考えられています。仏教とともに中国から伝わった薬湯は、真言宗の開祖である空海(弘法大師)が薬草を用いた医療行為を行ったことが始まり。当時は医療目的で用いることが中心でしたが、これが季節湯のルーツの一つとされています。
江戸時代には銭湯文化が広まったことから、庶民の間でも季節湯が楽しまれるようになりました。その後は季節の文化と結びつき、冬至の柚子湯や端午の節句の菖蒲湯など特定の日に特定の植物を入れたお風呂に入る習慣が定着しました。
季節の変わり目には体調を崩しやすいことから、季節湯には薬草や香りの力で健康を維持しようとする知恵も込められています。人々の健康への願いやその時期ならではの厄払いなどの意味があるものも多く、現代でも季節湯の文化は大切に継承されています。
3月:よもぎ湯

3月は、草餅などでもおなじみの「よもぎ」を使ったよもぎ湯がおすすめです。よもぎは日本各地の野山や道端に自生するキク科の多年草で、古くから食用や薬用として利用されてきました。多年草でほぼ一年を通して生育しますが、食用として3月から5月頃に採取される若葉は柔らかく香りも良いことから春のイメージが定着しています。
よもぎ湯の効果
よもぎは「ハーブの女王」とも呼ばれるほどさまざまな効能を持つ植物で、身体を温め血行を促進する効果や胃腸の働きを活発にして消化を助ける効果、精神を安定させるリラックス効果、美肌効果などが期待できます。
よもぎ湯のやり方
(1)生のよもぎを使う場合は、葉をよく洗って刻んで布袋に入れる。乾燥よもぎを使う場合はそのまま布袋に入れる。
(2)布袋を湯船に入れ、よもぎの香りが広がるのを楽しみながら入浴する。
よもぎの成分をより効果的に抽出したい場合は、布袋を鍋で煮出してからお湯に入れるのもおすすめです。
よもぎ湯の注意点
・キク科アレルギーの方は使用を控えましょう
・妊娠中や授乳中の方は、医師に相談してから使用しましょう
・肌に合わないと感じた場合は、使用を中止しましょう
・野生のよもぎを採取する際は、農薬や排気ガスなどに注意しましょう
4月:さくら湯

4月は、春の象徴である「桜」を使ったさくら湯がおすすめです。バラ科サクラ属である桜は3月下旬から4月上旬に開花(地域により異なる)する花で、その美しさや短期間で散る儚さから多くの人を魅了します。ソメイヨシノやヤマザクラ、枝垂れザクラなど日本には数百種類の桜が存在しますが、季節湯に使うには八重桜がおすすめです。
さくら湯の効果
さくら湯で最も期待できる効果は、リラックス効果です。桜の香り成分である「クマリン」には、心を落ち着かせてリラックスさせる作用があります。また、桜の花や葉には抗酸化作用のある成分が含まれており、肌の炎症を抑える効果や保湿効果も期待できます。見た目の美しさはもちろんのこと、リラックス効果や安眠効果、美肌効果などが期待できる春におすすめの入浴法です。
さくら湯のやり方
(1)八重桜のつぼみを塩漬けにしたものを水で洗って塩抜きする。
(2)湯船に桜を浮かべ、ほのかな香りを感じながら入浴する。
塩抜きした桜の花びらを日本酒に入れてお風呂に加えると、さらにリラックス効果が高まりおすすめです。
さくら湯の注意点
・桜アレルギーの方は使用を控えましょう
・塩漬けの桜は食用として販売されているものを使用しましょう
・肌に合わないと感じた場合は使用を中止しましょう
エコキュートで季節湯を楽しむ際の注意点

エコキュートでも季節湯を楽しむことは可能ですが、エコキュートの機種やメーカーによっては使用方法によって故障のリスクが生じる可能性もあります。メーカーごとに推奨されている入浴剤やエコキュートで入浴剤を使用する場合の注意点、メンテナンス方法について詳しく解説した記事もあるので、ぜひあわせてチェックしてください。
季節湯を楽しむ際は、入浴前後に水分補給をしっかり行い、体調に合わせて無理のない範囲で楽しみましょう。ぜひ記事参考に自宅で手軽に楽しめる季節湯で、心身ともにリフレッシュし春の訪れを満喫してください。