エコキュートはガスと併用できる?メリットや注意点を解説

この記事の監修者

施工管理部 大阪施工センター長

仲井 康朗

エコキュート工事の施工管理歴10年。

現場経験の知識を活かし、当ブログの記事監修を担当。

保有資格

  • 第二種電気工事士
  • 液化ガス設備士(LPG)
  • ガス簡易内管施工士
  • ガス可とう管接続工事監督者

エコキュートは給湯にかかる光熱費の節約が期待できる給湯器で、様々な利用方法があります。エコキュートの導入を検討している方の中には、オール電化との組み合わせが気になる方もいるでしょう。
エコキュートとガスを併用すべきか。機器や設備を入れ替えてオール電化を目指すべきか。この記事では、そもそもエコキュートはガスと併用できるかという基本的なところから、ガスと併用するメリットやデメリット、そしてどのような方に併用がおすすめなのかなどを詳しく紹介します。

【本記事の要約】
・エコキュートは、ガス給湯器を交換すればコンロなど今のガス機器と一緒に使える。
・ガスと併用すると給湯の光熱費を節約できる良い点がありますが、電気・ガス両方の基本料金がかかるなどの注意点が必要。
・災害時のリスクを分散したい方、使い慣れたガス機器をそのまま利用したい方には、ガスとの併用がおすすめ。

目次

エコキュートとオール電化の関係とは

まずエコキュートとは、空気の熱を利用して効率よくお湯を沸かす、ヒートポンプ式の電気給湯器です。
ガス給湯器が都度お湯を作る瞬間式に対し、エコキュートは沸かしたお湯を貯湯タンクに作り置きしておける貯湯式です。
電気料金プランを変更し、電気代が割安な夜間などにお湯を沸き上げることで、給湯にかかる光熱費を節約できます。
電気で稼働する点は電気温水器と似ていますが、ヒートポンプ技術で空気熱を使用してより少ない電力で効率的に沸き上げられるのが、エコキュートならではの強みです。

ガスを使わずにお湯を沸き上げられるエコキュートは、オール電化を実現するための主要な住宅設備の一つです。
オール電化とは、調理、給湯、冷暖房など、家庭内で用いるエネルギーをすべて電気でまかなうライフスタイルを指します。ガスを使用しないため、火災リスクの低減や、光熱費の基本料金が電気に一本化されるなどのメリットがあり、選択するご家庭も増えています。近年では、太陽光発電システムとの連携も注目されています。

エコキュートはガス(都市ガス・プロパンガス)と併用できる?

エコキュートは、ガスと併用できます。
具体的には、ご家庭のガスコンロやガスファンヒーター等はそのまま使用し、ガス給湯器のみエコキュートに交換することで、エコキュートとガス機器を併用することが可能です。
オール電化向きの電気給湯器としても知られるエコキュートですが、ガスと併用するだけでも、日々の給湯コストを下げられます。
また、ガス給湯器をエコキュートに交換するだけなので、オール電化住宅を目指す場合と比べると、初期費用を抑えられるのもメリットです。
ただし、ガス併用とオール電化には、どちらもメリットとデメリットがあります。ご自身のライフスタイルに合わせて慎重に検討することが大切です。

エコキュートをガスと併用するメリット

笑顔の柄の立方体の積み木を4つ積んでいる写真

給湯の光熱費を節約しやすい

エコキュートとガスを併用することで、主に給湯にかかる光熱費を節約しやすくなります

エコキュートは、夜間など電気料金が割安になる電気料金プランを契約し、その深夜帯にまとめてお湯を沸き上げることで、給湯にかかる光熱費をおさえる仕組みになっています。
使用状況や契約する電気料金プランなどにもよりますが、三菱電機の光熱費シュミレーションによるとガス給湯器(都市ガス)はエコキュートの約2.3倍、ガス給湯器(プロパンガス)はエコキュートの約3.9倍の光熱費になります。
節約効果が高いため、オール電化への移行まで考えていない方でも、エコキュートに交換することを検討する価値があります。

メーカーや電力会社によっては、ホームページで、エコキュートとガス給湯器での光熱費のちがいを確認できます。

年間光熱費の比較例(家族3人)

エコキュート
(東京電力エナジー
パートナーエリア)
年間電気代
ガス給湯器 
(都市ガス) 
年間ガス代
ガス給湯器
(プロパンガス)
年間ガス代
約36,200円約83,300円約141,200円
出典 三菱「給湯光熱費かんたんシミュレーション」

使い慣れたガス機器をそのまま使える

使い慣れたガス機器をそのまま使えることも、エコキュートとガスを併用するメリットです。
例えば、キッチンではガスコンロやガスオーブン、リビングではガスファンヒーターやガスストーブなど、愛用しているガス機器を引き続き使用できます。

いずれはオール電化にする予定があるものの、まだ十分に使えるガス機器を手放すのはもったいないと感じる場合、まずはガス給湯器のみをエコキュートに交換するという選択肢も考えられます。
 

日中の電気代の節約につながる可能性がある

エコキュートとガスを併用することで、日中の電気代を節約しやすくなることがあります。

エコキュートは主に深夜にお湯を沸き上げるため、多くの場合、夜間の電気料金が割安なプランを契約します。
しかし、これらのプランでは、昼間の電気代が高く設定されていることが一般的です。そのため、育児やリモートワークなどで日中も家に人がいる場合は、日中の電気使用料が増え、電気代が高くなってしまいがちです。このため、できる限り昼間の電気の使用を抑える工夫が求められます。
契約プランや使用状況にもよりますが、調理にガスコンロ、暖房をガスファンヒーターなどのガス機器にしておけば、昼間の電気代を気にせず使用できます。

停電中でもガス機器が使える安心感

地震などの自然災害による停電時でも、一部のガス機器は利用できます。これは防災面でのメリットといえるでしょう。

オール電化の場合、停電してしまえばすべての家電製品が使えなくなってしまいます。一方で電気とガスの併用なら、片方のエネルギー供給が止まってしまっても、もう片方で補えます。このようにリスクを分散できる点が強みです。

電源が必要なガス機器は停電時には動かせないものの、乾電池で着火するタイプであれば、ガスコンロや瞬間湯沸かし器等を使用可能です。
特に冬季や雨の日のように体が冷えてしまう時は、温かい食事が食べられたり、温かいお湯をさっと使えたりすることで、健康面だけでなく精神面でも大きなメリットを感じられるでしょう。
ただし、停電時は換気扇が作動しないなど、十分な換気が難しい場合があります。ガス機器を使用する際は、換気に細心の注意が必要です。
ちなみに、エコキュートは電気がなければお湯を沸かすことはできません。しかし、貯湯タンク内にお湯や水があれば、生活用水としてなら利用できる場合があります。
貯湯タンク内のお湯・水は基本的に飲用に適しませんが、日立のエコキュートであれば、沸騰させることで非常時の飲用水として使用できることがあります。やむを得ず飲用する場合は、固形物や変色、濁り、異臭、異物がないかを確認してから使用してください。

ライフスタイルに合った電気料金プランを検討できる

エコキュートの導入で、ライフスタイルに合った電気料金プランを見直す良い機会にもなります。
例えば、共働きや塾等で、夜遅くまで家を空けていることが多いご家庭では、従量電灯プランよりも、夜間の電気代が安い時間帯別料金プランへ変更した方が良いケースがあります。
ガス機器中心で日中の電気使用量が多かったために時間帯別料金プランのメリットを感じにくかったご家庭でも、エコキュートを導入し夜間にお湯を沸かすようになると、このプランがより魅力的な選択肢となるでしょう。

エコキュートとガスを併用するデメリットや注意点

黄色の服の女性白Tシャツの男性がスマホを見ながら相談している写真

オール電化の節約効果を受けづらくなる

電気代とガス代は、それぞれ下記のような料金構成になっています。

  • 電気代…基本料金+電力量料金(使用量に応じて変動)+再エネ賦課金
  • ガス代…基本料金+従量料金(使用量に応じて変動)

エコキュート導入で節約できるのは、主に電気の使用量や料金単価等によって変わる「電力量料金」です。
電気料金が割安な深夜の時間帯に沸き上げをおこなうことで、この電力量料金を抑えることができます。
さらに、蓄電池や太陽光発電システムを取り入れることで、より電力量料金を抑えられる可能性があります。
一方、ガス代の従量料金は、基本的に使用時間帯による単価の違いはありません。
そのため、オール電化に比べ、節約効果が下がってしまう点は否定できません。

また、エコキュートとガスを併用することで、電気とガス両方の基本料金がかかってしまいます。
基本料金とは、使用量に関係なく毎月かかる料金です。
オール電化なら基本料金は電気代のみです。しかし併用の場合は、電気代とガス代双方の基本料金を払う必要があります。
もったいないと感じるのであれば、オール電化への移行も選択肢のひとつとなります。

災害時にガスの復旧に時間がかかることがある

災害時には、特に都市ガスの場合、供給が停止すると復旧に時間がかかることがあります。

中小企業庁によると、震度6弱時の復旧日数は、電気が最短1日であるのに対し、都市ガスは最短15日と想定されています。(※これはあくまで想定であり、災害の規模や状況により異なります)。
プロパンガスは、供給設備に大きな損傷がなければ比較的早期に復旧できることがあり、停電しただけであれば、乾電池で稼働するタイプのガス機器は使えます。
しかし、都市ガスは広範囲に敷設されたガス管を通じて供給されるため、災害時にはガス管の破損や、安全性確保等を理由に供給が止まることがあり、復旧に時間を要する傾向があります。
災害が多い地域、大きな地震の発生が予想される地域では、この点を考慮し、オール電化を選択することも災害対策の一つと言えるかもしれません。

参考

一酸化炭素中毒や火災などガス特有のリスクがある

ガスを使用する以上、ガスによる一酸化炭素中毒や火災等のリスクが残ってしまいます。

ガス機器は、燃焼時に酸素を消費するため、換気が不可欠です。
換気が不十分で酸素が不足すると、不完全燃焼状態になり、有毒な一酸化炭素が発生する危険性があります。
ガス機器を使い続けるのであれば、安全な取り扱いや定期的な点検に十分注意する必要があります。

オール電化とガス併用の違いとは?

オール電化とガス併用の主な違いとしては、下記の3つが挙げられます。

  • 光熱費の抑えやすさ
  • ガスの燃焼に伴うに伴うリスク一酸化炭素中毒や火災のリスクの有無
  • 初期費用

一般的に、オール電化は、ガス併用よりもランニングコストを抑えやすい傾向があります。
電気に一本化することで基本料金を節約でき、電気料金プラン次第では、さらに電力量料金も抑えられるためです。
また、室内でガスを燃焼させないため、不完全燃焼による一酸化炭素中毒や火の不始末による火災を招くリスクを低減できます。
ただし、オール電化は、ガス併用に比べて初期費用が高くなる傾向があります。
ガス給湯器をエコキュートに変えるだけでもランニングコストの削減は期待できます。初期費用が気になる方は、まずエコキュートのみを導入し、ガス機器と併用することも方法のひとつです。

ガス給湯器とエコキュートの違い

ガス給湯器とエコキュートの主な違いは、下記の通りです。

  • 使用している熱源
  • お湯を沸かす仕組み(瞬間式か貯湯式か)
  • 光熱費の抑えやすさ
  • ガス燃焼に伴うリスクの有無
  • 設置に必要なスペースや機器構成

ガス給湯器はガスを燃焼させてお湯を作るため、瞬間的にお湯を作れる高い火力が魅力です。
ただし、一般的にエコキュートと比較して給湯にかかる光熱費は上がりがちです。
また、ガスを燃焼させるため、一酸化炭素中毒や火災のリスクが伴います。

一方エコキュートは、電気と空気の熱、2つの力で効率的にお湯を作っており、給湯にかかる光熱費を抑えやすいことが魅力です。
ただし、貯湯式のためお湯を作るのに時間がかかります。そのため、貯湯タンクの容量や使い方によっては、お湯切れがあり得ます。

なお、ガス給湯器の室外機は壁掛けでコンパクトなことが多いです。エコキュートは2つの室外機を置くため、設置にはガス給湯器よりもスペースが必要です。

エコキュートとガスの併用がおすすめの人は?

エコキュートとガスの併用がおすすめの人は、下記に当てはまる人です。

  • ガス代が高くなってしまう家庭
  • 災害時に備えてリスクを分散させたい人
  • ガス調理やガス機器を使い続けたい人

ガス代が高くなりやすい家庭

現在、給湯にかかるガス代が高いと感じている方には、エコキュートとの併用が効果的です。

例えば、二世帯同居などで家族の人数が多く、お風呂の使用回数や一度に使う湯量が多いご家庭では、ガス給湯器のガス代が高額になりがちです。
給湯をエコキュートに切り替えることで、お風呂などの光熱費を削減できる可能性があります。
お湯の使用量が多い場合は、550Lのような大容量タイプを使用することで、電気代の高い昼間の沸き上げを防げます。

災害時に備えてリスクを分散させたい人

エコキュートとガスの併用は、災害時に備えて、リスクを分散させたい方におすすめです。
オール電化の場合、電気の復旧が早ければエコキュートでお湯を沸かせますが、停電時はIHコンロやエアコンも含め、家庭内の多くの設備が使えなくなります。また、水道が止まっている間は新たなお湯を作ることもできません。

これに対し、ガス併用なら、たとえば停電しても乾電池式ガスコンロやガスストーブなどの機器はそのまま使える場合があります。断水しても、エコキュートのタンク内に残ったお湯や水は生活用水として活用できますし、ガスコンロで沸騰させれば非常時の飲用水として利用できることもあります。

停電や断水など複数のトラブルが重なった時の備えとして、ガスとの併用は安心感の高い選択肢です。
※エコキュートの貯湯タンク内の水やお湯は飲用には向いていません。
どうしても飲用したい場合は、必ず沸騰させてから使ってください。

ガス調理やガス機器を使い続けたい人

長年使い慣れたガス機器を使い続けたい人にも、エコキュートとガスの併用はおすすめです。

例えば、コンロをIHに変更すると、使用できる鍋やフライパンがIH対応製品に限られます。
また、IHは調理器具を離すと加熱されないため、中華鍋を振るうような調理法には向きません。
調理にこだわりがあり、ガス火の火力を好む方や、使い勝手が変わることに不安がある方は、無理にIHに変えず、ガスコンロを使い続けるほうがよいかもしれません。
また、寒冷地に住んでおり、手軽なガスファンヒーターやガスストーブを使い続けたい方も、ガス機器を残す選択が現実的でしょう。

オール電化がおすすめの人は?

エコキュートとガスの併用ではなく、オール電化を目指した方が良いケースもあります。
ここでは、エコキュートとガスの併用より、オール電化がおすすめの人をご紹介します。

基本料金を一本化して光熱費を抑えたい人

電気とガス両方の基本料金がもったいないと感じる人には、オール電化がおすすめです。
電気とガスの両方の基本料金を支払い続けることは、光熱費全体の節約効果を薄める要因になり得ます。
光熱費を電気に一本化した方が安くなる家庭であれば、ガス給湯器をエコキュートに変えるだけでなく、ガスコンロもIHにするなど、オール電化への移行を検討するのがおすすめです。

太陽光・蓄電池を導入して節電したい人

光熱費を最大限節約するため、蓄電池や太陽光発電システムを導入したい人にもオール電化がおすすめです。
蓄電池があれば電気料金が安い夜間に電力を蓄え、昼間に自家消費することができます。太陽光発電システムがあれば、日中に発電した電力を自家消費し、余剰電力はエコキュートの昼間の沸き上げに活用したり、電力会社に売電したりすることも可能です。
両方組み合わせれば、日々の光熱費をよりお得にできます。

子供やお年寄りのために事故のリスクを減らしたい人

小さなお子様やご高齢の方が同居しており、火災のリスクをできるだけ低減したい方にも、オール電化が有力な選択肢となります。

エコキュートとガスを併用するご家庭も多いですが、ガス機器を使い続けることで、ガス漏れや不完全燃焼による一酸化炭素中毒、あるいは火災といったリスクは残ります。
ガス機器によっては操作が簡単なものもあり、それがかえってお子様やご高齢の方による意図しない操作や事故への懸念につながる場合もあるかもしれません。
ガス給湯器からエコキュートに変えるだけでもお風呂の空焚きのリスクを減らせますが、より安全性を高めるなら、オール電化への移行が有効な対策と言えるでしょう。

まとめ

この記事では、そもそもエコキュートはガスと併用できるのかという基本的なところから、ガスと併用するメリットやデメリット、どのような方に併用やオール電化がおすすめなのかなどを詳しくご紹介しました。

ガス併用もオール電化も、メリットやデメリットがあり、最適な選択は家庭やライフスタイルによって異なります。
初期費用を抑えたい方、災害時のリスクを分散したい方はガス併用、ランニングコストを抑えたい方、安全性を高めたい方はオール電化が一つの目安となるでしょう。

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