エコキュートの排水とは?水漏れとドレン排水の違い、見極め方を解説

「エコキュートの周りがいつも濡れているんだけど、これって大丈夫?」
エコキュートをご使用の方で、このように感じたことがある方も多いのではないでしょうか。
エコキュートは稼働時に排水を行うため、周囲が濡れることがあります。しかし、本来は起こってはいけない水漏れの場合もあるため、その見分け方が重要です。
この記事では、エコキュートの「ドレン排水」の種類と役割、そして「水漏れ」との具体的な違いを解説します。さらに、適切な排水処理の重要性や、ご自身で異常を見極めるためのチェックポイント、対処法までを分かりやすくご紹介します。
排水と水漏れの違いは?排水には2種類ある

排水と水漏れの違い
ドレン排水は決まった場所からの正常な排水、水漏れは想定外の場所からの故障による漏水です。
エコキュートは、室外機から「ドレン排水」をおこなっています。エコキュートの仕組み上、必ず発生するものです。
ドレン排水は、不要な水を排出するためにおこなわれています。排水箇所も、排水用の配管や、ヒートポンプユニット背面の隙間から、となっています。
ドレン排水には、結露水と膨張水の2種類があります。
対して水漏れは、本来排水のされない箇所から水が出てしまうことです。
機器の接続部や配管のひびなどから水が漏れてしまいます。何らかのトラブルが発生しているサインです。
ドレン排水はエコキュートの正常な稼働に必要な働き、水漏れはトラブル、といったちがいがあるのです。
次に、2種類のドレン排水、結露水と膨張水を解説します。
ヒートポンプユニットのドレン排水(結露水)
ヒートポンプユニット背面の隙間からは、結露水が排出されます。
これは、空気中の熱を利用してお湯を沸かす際に、内部で温度差が生じることで発生する結露が原因です。
エコキュートは、ヒートポンプ技術が使われており、稼働時には熱の移動がおこなわれます。
部品の一部は熱される一方で、アルミ板と銅管等で構成された部品は冷やされるため、温度差で結露水が生じます。
時期によっては、1度の稼働で10Lもの結露水が生じることもあります。
貯湯タンクユニットのドレン排水(膨張水)
貯湯タンクユニット下部の排水配管からは、膨張水が排出されます。タンク内で温められ体積が膨張した水が排出されています。
膨張水とは、加熱により体積が増えた分の水(お湯)のことです。
水は、温めることで体積が増える性質があります。例えば、水を4℃から85℃まで加熱すると、1.03倍に膨張します。
エコキュート内部で水が膨張すると、配管や貯湯タンク等に圧力がかかって危険です。
そのため、稼働時はほぼ常に、逃し弁やセンサー等が作動し、膨張水を貯湯タンクユニット下部から排水しています。
エコキュート排水の適切な処理はなぜ大切?
結露水と膨張水、どちらのドレン排水も、成分はただの水のため無害です。
しかし、コンクリート上にそのまま垂れ流しにすると、下記の原因になります。
- カビや苔等の汚れが発生する
- 冬場に水が凍結して足元が滑る
- 水が近隣の敷地にまで流れてトラブルになる
これらの問題を避けるために、ドレン配管や排水配管を接続し、雨水マスや汚水マス等に流して処理するようにしてください。
雨水マスと汚水マス、どちらに排水するかは自治体によりますが、一般的にヒートポンプユニットの結露水は雨水マス、貯湯タンクユニットの膨張水は汚水マス、とされる傾向があります。
ヒートポンプユニットの排水(結露水)とトラブル、ちがいの見極め方は?
ヒートポンプユニットからは、結露水が排出されます。しかし、中には「これはおかしいかも?」と感じることもあるでしょう。以下の点を確認し、気になる場合は業者に相談してみましょう。
昼間でも地面が濡れたまま
昼間になっても、ヒートポンプユニットの周囲が濡れているのであれば、排水に異常があるかもしれません。
通常、結露水は、深夜から早朝にかけての稼働時に出るものです。また、水の大半は雨水マスや汚水マスへと流れます。天気がよければ、昼頃には自然と乾いているはずです。
もちろん、雨や雪で濡れている、曇りで乾きにくい、等も考えられます。
しかし、天気が良いのに地面がまったく乾く様子がなければ、、ヒートポンプユニットの排水に問題が生じている可能性を疑いましょう。
ドレンソケットやドレンホースに異常がある
ヒートポンプユニットの底面を確認してみましょう。
一般地の場合、ヒートポンプユニット底面には、ドレン配管が取り付けられています。
ドレン配管は、ヒートポンプユニットとつなぐ「ドレンソケット(ドレンニップル)」と管部分の「ドレンホース」で構成されています。
排水異常がある場合、下記のようなトラブルが起きているかもしれません。
- ドレンソケットかドレンホースが壊れている
- ドレンソケットかドレンホースがはずれている
- ドレンホースに角度が付いている、下り勾配になっていない
- ドレンホースに詰まりが生じている(虫や汚れ、凍結等)
これらの主な原因には、経年劣化や業者の施工不良、台風や地震等の災害が考えられます。
また、本来は移動させることのないエコキュートを、どなたかが移動させてしまった場合も、上記のようなことが起こり得ます。
排水方法が適切でない
結露水の排水方法が適切かどうかも確認しましょう。
凍結の心配がない一般地では、ヒートポンプユニットの底面にドレン配管が取り付けられているのが一般的です。
しかし、設置した業者の知識が不足していた場合、ドレン配管が未施工ということもあり得ます。
ドレン配管がなければ、雨水マスや汚水マスに水が流れていかず、地面が濡れたままになってしまいます。その結果、以下のような問題が発生しやすくなります。
- 苔や凍結が発生して滑りやすくなる
- 湿気でエコキュートや住宅に不具合が起きやすくなる
なるべく早く、設置業者などに連絡して対処してもらいましょう。
ヒートポンプユニットが水平でなくなっている
ドレン配管に問題がなければ、ヒートポンプユニットが水平に設置されているかも確かめましょう。
ヒートポンプユニットが傾いてしまう原因は、業者の施工不良や、地震、経年劣化等が考えられます。
ヒートポンプユニットは設置の際、水準器(水平器)や簡易基礎等を用いて、傾きがないようにおこなわれています。
しかし、傾きがある状態で設置されていると、結露水が底面のドレン配管からではなく後方から垂れてくることがあります。
このような場合も、雨水マスや汚水マスに水が流れていかないため、昼を過ぎても乾かないことがあります。
内部配管の水漏れ
ドレン配管や本体の傾きに問題がないのに水が出ている場合は、内部配管の水漏れを疑ってみてください。
凍結や経年劣化等で配管が破損すると、破損個所から水が漏れ出してしまいます。量が多ければ、地面が常に水びたし昼の状態になることもあります。
ヒートポンプユニット内部は、自身では確認できません。もし「以前よりも明らかに排水量が多い」「水が止まらない」といった状況であれば、業者に点検を依頼しましょう。
貯湯タンクユニットのドレン排水(膨張水)とトラブル、ちがいの見極め方は?
貯湯タンクユニットの膨張水も確認してみましょう。
以下のポイントに当てはまる場合は、業者への相談をおすすめします。
稼働時でないのに水が出ている
エコキュートの稼働時以外に水が出ているのであれば、異常があると考えられます。
膨張水は、基本的に加熱によって生じるため、稼働時以外には出てきません。
それ以外の時間帯に水が出ているのであれば、水漏れを疑ってみてください。
排水量が多すぎる
排水量が多い場合も、異常を疑ってみてください。
膨張水は、メーカーや機種等にもよりますが、15Lほどの量が生じることもあります。
しかし、明らかにその量よりも排水が多いと感じる場合は、何らかの異常が発生している可能性があります。
具体的な量を測るのは難しいかもしれませんが、
- エコキュートの試運転時の排水量を覚えておく
- 沸き上げ後に、いつもより周囲が広範囲に水浸しになっていないか
といった方法で判断してみてください。
不適切な場所から水が出ている
貯湯タンクユニットの不適切な場所から水が出てきている場合も、排水に異常が起きていると見られます。
適切な場所とは、貯湯タンクユニット下部の、排水口や排水配管等のことです。
これ以外の場所、例えば、本体の側面や背面、あるいは接続部から水やお湯が漏れてきているのであれば、水漏れを起こしていると考えられます。
エコキュートの排水に異常が生じると起きること
エコキュートの排水不備や水漏れが生じていると、様々なデメリットがあります。
例えば、水漏れが起きている場合、エコキュートは正常に稼働できなくなります。
「作れるお湯が少ない…」「いつもより水道代がかかる…」といった事態になるため、修理や交換が必要です。
また、排水不備がある場合、ドレン排水が逆流して内部が汚れたり、上ってきた腐食性ガスが錆や腐食を生じさせたり、があり得ます。
万が一の時のために、エコキュートと雨水マスや汚水マスは配管で直接つながず、間接排水にしておくのが理想的です。
腐食性ガスが逆流しないように、排水トラップや排水ホッパーを設け、膨張水を流す排水配管は、耐熱性や腐食性に優れた配管を使用するとよいでしょう。
エコキュートの寿命は約10年です。寿命が近づいてくると、故障や不具合が増えたり、沸き上げなどの機能が弱まってしまったりしてきます。
こうなってくると、修理してもすぐ別の故障が発生して、費用がかさんでしまうこともあります。
そのため、寿命が近い場合は、交換のほうが結果的に安く済むことがあります。また新しい機種のほうが、沸き上げの効率や機能の充実性にもすぐれていることが多いです。
急湯デポは、エコキュートからエコキュートへの交換を専門にしている、インターネット専門店です。
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経年劣化や故障等でエコキュートの交換が必要になった際には、ぜひご相談ください。
エコキュートの排水異常を防ぐための対処法

定期的な水抜き
エコキュートの排水異常を防ぐための最も基本的なメンテナンスが、水抜きです。
水抜きとは、エコキュートの内部に溜まった汚れを排出する、定期メンテナンスの一つです。
ヒートポンプユニットと貯湯タンクユニットの両方におこなうもので、汚れによる経年劣化や詰まりを防ぎ、エコキュートの寿命を延ばす効果が見込めます。
簡単な手順は以下となります。なお、実際に水抜きを行う場合は、必ず取扱説明書などを確認しておこなってください。
【水抜きの簡単な手順】
- 貯湯タンクの「漏電遮断器(漏電ブレーカー)」をオフにします。
- 給水配管の途中についている「給水側止水栓」を閉め、万が一の際に放水しないようにします。
- 貯湯タンク上部の点検口(逃し弁カバー)を開け、中の「逃し弁レバー」を手前に起こしてください。
- 「排水栓」を開いて、2分ほど水を出し続けタンクの汚れを流します。
- 排水後、「排水栓」を閉じます。
- 「給水側止水栓」を開きます。
- 排水口(排水ホース)から、水(お湯)がしっかりと出ることを確認します。 「逃し弁レバー」を元に戻し、「漏電遮断器(漏電ブレーカー)」をオンにします。
- 各カバーを取り付け直して完了です。
水抜きの詳しい手順は「初めてでもできる!?エコキュートの水抜き方法や注意点等を解説」のコラムをチェックしてみてください。
寒冷地では凍結対策を
寒冷地にお住まいの場合、冬場の凍結による配管の破損を防ぐための凍結防止措置が重要です。
配管の凍結は、エコキュートの稼働効率の低下、故障に直結します。凍結予防ヒーターや断熱材の設置は必須です。ほかには、カバーや防風板を設置したり、外気温が0℃以下になるようであれば、凍結予防運転をおこなったりしてみてください。
凍結時の対策については、「冬は要注意!エコキュートが凍結したら?対処方法や防止方法を解説」のコラムをチェックしてみてください。
定期的なメンテナンス・点検
エコキュートを長く快適に使い続けるためには、定期的なメンテナンスや点検が欠かせません。
エコキュートは、水漏れ以外にも様々なトラブルに見舞われることがあります。
ランニングコストに優れたエコキュートを長持ちさせるためにも、浴槽フィルターや風呂配管の掃除等、日頃から意識してみてください。
また、異常を感じた場合は放置せず、業者に相談してみるのがお勧めです。
詳しいメンテナンスの方法は「エコキュートを長持ちさせるメンテナンス・掃除方法を紹介!」のコラムをチェックしてみてください。
エコキュートの排水に異常が生じたら業者に連絡
エコキュートの排水に異常が生じていると感じたら、業者に連絡してみましょう。
ご自身で解決しようとすると、かえって症状を悪化させてしまったり、思わぬ事故に繋がったりする危険性があるためです。
特に、ドレン配管や排水配管が外れている、そもそも設置されていない等のトラブルは、業者でなければ対応できません。
見るからに排水の量が多かったり、稼働時以外にも水が出ていたりすれば水漏れの可能性があり、別のところから水が出てきているようなら、傾いていることも考えられます。
まずはメーカーや購入店に連絡してみるのがおすすめです。メーカー保証の対象になるかも確認しておくと、費用面でも安心でき、依頼しやすいでしょう。
まとめ
エコキュートのドレン排水の種類、水漏れとの違い、排水を適切にすべき理由、そして異常を見極めるためのポイントについて解説しました。
エコキュートは稼働時にドレン排水を出しているため、周囲が濡れていても、故障や水漏れとは限りません。
しかし、昼を過ぎてもエコキュートの周囲が濡れている、稼働時以外にも水が出てきている等の症状が見られたら、排水の異常を疑い、業者に連絡をしてみましょう。
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