エコキュートは床暖房に使える!? メリットや導入費用、電気代について解説 

寒い冬の暖房器具として人気の「床暖房」ですが、どのような仕組みで動いているのかご存知ですか? じつは床暖房にはさまざまな種類のものがあり、給湯のイメージが強いエコキュートを利用できるものもあります。そこで今回は、床暖房の仕組みや種類、さらにエコキュート床暖房についても紹介します。

目次

床暖房の種類

まずは、床暖房の種類から見ていきましょう。床暖房は大きく「電気式」と「温水式」の2種類に分けられます。

電気式床暖房

その名の通り、電気を使って床を温めるタイプの床暖房。床のすぐ下に発熱体があり、そこに電気を流すことによって床が温まります。燃料は電気のみですが、床下に入れる発熱体によりいくつかの種類があります。

■熱線式
発熱体の熱線部分に電気を通して床を温めます。

■カーボン式
耐久性にすぐれたカーボン(炭素繊維)を利用して床を温めます。

■PTC発熱ヒータ
シート状の薄いヒーター。平面や曲面をムラなく温められるほか、温まり過ぎるのを自動で抑制する機能が搭載されているのでムダな発熱を抑えられます。

■蓄熱式電気ヒーター
電気代が安い夜間に蓄熱体を加熱。それを昼間に自然放熱させて部屋全体を暖めます。

温水式床暖房

これに対して、温めた水(お湯)を床下で循環させることにより部屋全体を暖めるのが「温水式床暖房」です。このお湯を温める燃料には、電気やガス、太陽熱などさまざまな種類があり、2つ以上のエネルギーを組み合わせた「ハイブリッド」と呼ばれる熱源もあります。

<電気>
■多機能型エコキュート
一般的なエコキュートと同様に電気料金の安い夜間にお湯を沸かしてタンクに貯めておき、給湯や床暖房に使用します。

■床暖房専用ヒートポンプ
大気の熱をそのまま熱エネルギーに使用します。二酸化炭素の排出がないので、省エネ性が高いのがポイントです。

■エアコン連動型ヒートポンプ
ヒートポンプの機能にプラスして、冷暖房の立ち上がり時にエアコンで室内を暖めます。

■太陽熱利用温水器
太陽熱で作られた温水をガスや灯油ボイラーで温め直したものを使用します。

<ガス>
■温水暖房付き給湯器
エコジョーズなどの給湯器を使って温めたお湯を利用します。ランニングコストは電気よりも高めですが、初期費用が安く暖まるまでの時間も短いのが特徴。

■床暖房専用ガスボイラー
床暖房専用に設置したガスボイラーを使用します。温水式床暖房の中では最も設備費用が安くすみます。

<灯油>
■床暖房専用灯油ボイラー
床暖房専用の灯油ボイラーで床を温めます。広範囲を温められるのとランニングコストの安さが魅力ですが、定期的な給油が必要です。

床暖房には、燃料によりさまざまな種類があることがわかりました。それぞれ導入にかかる初期費用やランニングコスト、特徴が異なるので、暖めたい部屋の広さやご自宅の環境に合わせて最適な床暖房を選ぶのが大切です

オール電化なら「エコキュート床暖房」も

ここからは、多機能型エコキュートを使った「エコキュート床暖房」についてお話しします。エコキュート床暖房は温水式床暖房の一種で、エコキュートを使って沸かしたお湯を床下のパイプに流すことで床を温めます。

「エコキュート床暖房」のメリット

では、エコキュート床暖房にはどのようなメリットがあるのか紹介します。

①電気代の節約
一番大きなメリットとして挙げられるのは、やはりランニングコストの削減です。エコキュートは大気熱を利用してお湯を沸かすので元々かかる電力が少ないうえ、電気料金が安い深夜にお湯を沸かすことにより電気代を減らして床暖房を稼働させられます。

②設置スペースの削減
はじめから多機能型のエコキュートを設置していれば、床暖房用にあらたに熱源機を設置する必要がありません。そのため、土地や建物にゆとりを持たせたまま床暖房を設置できます。さらにヒートポンプが外付けなので、床暖房使用時でもモーター音などの稼働音が気にならないのも魅力です

③CO2を排出しない
大気熱を利用するエコキュートは、環境にやさしいのもポイントです。電気を使って稼働するのでCO2の排出はゼロではありませんが、ガスや灯油を使う温水式床暖房と比較すると非常に省エネであることがわかります。

「エコキュート床暖房」のデメリット

反対に、デメリットもあります。

①長時間使用できない
タンクの容量に限りがあるエコキュートを床暖房に利用する場合、長時間使い続けることができません。また、長時間床暖房を使用して貯湯タンクが湯切れを起こしてしまうと、昼間の高い電力でお湯を沸かすことになります。

②暖房機能が弱い
給湯温度が低いため、ガス給湯式の床暖房などに比べて暖まりにくいという特徴も。また、暖められる範囲が18~26畳程度と限られ、これも他の床暖房に比べて狭いです。

導入費用が高額
深夜電力を使ってランニングコストを抑えられるのが魅力のエコキュート床暖房ですが、初期費用は他の床暖房にく比べて高くなります。

「エコキュート床暖房」のコスト

多機能エコキュートを設置して床暖房を使用する場合、一般的な初期費用の目安は次の通りです。

<初期費用目安>
・多機能エコキュート本体:約40万円~
・エコキュート設置工事費:9~16万円程度
・床暖房工事費:6畳65万円程度~/12畳80万円程度~

合計100万円を超える高額な初期費用になりますが、ヒーターやストーブと比べて3分の1程度の電気代になると言われおりランニングコストが安いのが魅力です。

エコキュート床暖房はメリットもありますが、床暖房を長く利用する家庭や寒い地方にお住まいの方には向かないなど、利用する家庭環境によって向き不向きが異なります

エコキュート床暖房は後から設置・閉塞できる?

では、すでに多機能型以外のエコキュートを設置している場合、エコキュート床暖房は設置できるのでしょうか?

答えは、設置可能です。ただし、エコキュートを多機能型に買い替える必要があるので、現在お使いのエコキュートが故障するなどして交換するタイミングで設置するのが良いと思います。

また新築ではなく、リフォームなどで床暖房を後から付ける場合、家自体の断熱性が低い可能性もあります。そのような場合は、多機能型エコキュートではなくヒートポンプ式床暖房を導入するのがおすすめです

また、反対に既に設置されているエコキュート床暖房を閉塞することも可能です。当社では、新築時にエコキュート床暖房を導入されていたお客様が、交換の際に床暖房を閉塞してフルオートタイプのエコキュートに変更する例も多いです。多機能型エコキュートは高価なうえ納期にもお時間を頂きます。そのため、新築時に床暖房を付けたが実際にはあまり使っていないといったご家庭では、交換を機に床暖房を閉塞して、すぐに設置できるフルオートタイプを選ばれるケースも多いのです。当社ではこのようなパターンの施工も多数対応しておりますので、ぜひお気軽に問い合わせください。

この記事を書いたのは

施工管理部 大阪施工センター長

仲井 康朗

施工管理者 仲井 康朗 です。

給湯器工事に携わって10年。日々エコキュートの施工管理を行う傍ら、お客様にエコキュートの情報をお伝えする当ブログの監修もしています。

保有資格

  • 北海道 / ⻘森県 / 第二種電気工事士免状 第 164447号
  • 液化ガス設備士免状 大阪府 142762005【LPG】
  • ガス簡易内管施工士資格証 15990024【都市ガス】
  • ガス可とう管接続工事監督者講習修了証 27130129【都市ガス】県 / ⼭形県 / 島根県 / 沖縄県

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