【代表松田の呟き】エコキュートは脱炭素社会に最適!?~「COP26」に学ぶ地球温暖化対策~

2021年10月〜11月にかけてイギリス北部のグラスゴーで、気候変動対策を目的とした国連会議「COP26(コップ26)」が開催されました。日本では岸田総理大臣が、就任後初めて外国を訪問して首脳会合に参加したことでも注目されましたね。

私たちが暮らす地球は現在さまざまな問題を抱えており、環境について考えることは誰にとっても大切なことです。そこで今回は、今話題の「COP26」から今後の地球的課題について私が感じていることや、それに対する当社の取り組み、環境保全に貢献可能なエコキュートについてお話したいと思います。

目次

「COP26」とは?

COP26とは、国連の「気候変動枠組条約」に参加している国が集まる会議。年々深刻化する温暖化やそれに伴う自然災害など、地球の環境問題に対して国際社会がどのような対策をとるのか話し合うための会議です

「COP」とは「Conference of the Parties(締約国会議)」の略で、今回の会議は26回目の開催にあたるので「COP26」。ちなみに、温暖化に対する国際的な取り組みについて取り決めた京都議定書は、国連気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)で採択されました。

COP26の議題

現在イギリスで開催されている「COP26」で議題となっているのは、地球温暖化の原因となる二酸化炭素など「温室効果ガス」の排出量をどれだけ減らすことができるか。温暖化による被害を減らすため、各国が掲げる削減目標をどこまで引き上げられるかが議題となっています。

2015年に採択されたパリ協定では、「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃未満に保ち、できれば1.5℃に抑える努力をする」ことが、世界全体で取り組む目標として掲げられました。これに伴い、すべての参加国に「温室効果ガス削減・抑制目標」を定めることが求められるようになったのです

COP26の首脳会合に出席した岸田総理は、2050年の「カーボンニュートラル」を実現するため、2030年度の温室効果ガスの排出量を2013年度から46%削減するという目標を表明。さらに50%に向けて挑戦すると説明しました。また、アジアを中心に途上国の再生可能エネルギーへの転換を後押しするほか、途上国に対して5年間で最大100億ドルの追加支援を行う用意があると表明しました。

しかし、パリ協定の1.5℃目標を実現するために先進国は2030年までに二酸化炭素の排出が多い石炭火力発電を廃止することが求められているのに対し、岸田総理の演説ではその道筋が示されませんでした。このことを理由に、日本は気候変動対策に後ろ向きな国に贈られる不名誉な「化石賞」を授賞。環境団体などから批判を浴びる結果となりました。

カーボンニュートラルとは?

ここで、政府が2050年までに達成する目標として掲げている「カーボンニュートラル」について確認しておきましょう。

カーボンニュートラルという言葉が使われ始めたのは、2020年10月の臨時国会で行われた菅総理の所信表明演説からです。

※所信表明演説から引用

「我が国は、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを、ここに宣言いたします」

つまり、2050年までにCO2をはじめメタンガスやフロンガスなど、すべての温室効果ガスの排出量をなくすという目標を表明したのです。ここで注目したいのは、「(温室効果ガスの排出を)全体としてゼロにする」という点。これは、排出を完全にゼロにすることは現実的に難しいため、排出してしまった分については同じ量を「除去」または「吸収」することによって、差し引きゼロを目指すという意味です

ちなみに2050年までのカーボンニュートラル実現を表明しているのは、日本を含み124カ国と1つの地域。これらの国のCO2排出量は、世界全体の37.7%を占めると言われています。

世界の二酸化炭素(CO2)排出量

では、現在世界ではどのくらいCO2が排出されているのでしょう。

2018年の世界のCO2排出量は、合計約335億トン。国別で見ると中国(約95億トン)が最も多く、世界全体の約28%を占めています。次いでアメリカ、インド、ロシア、日本の順に多く、日本は年間約10億トンのCO2を排出していることがわかります。中国やアメリカに比べると少なく感じるものの、EU諸国や途上国と比較すると非常に多くのCO2を排出していることがわかりますね。

また、国別にCO2排出量を見ると中国が飛び抜けて多い結果となりますが、人口比率まで考慮するとまた見方が変わります。各国のCO2排出量から国民一人あたりのCO2排出量を計算すると、中国が6.8トン/人であるのに対し、アメリカは2倍以上の15.1トン/人という結果に。さらに日本(8.5トン/人)も、1人あたりのCO2排出量は中国より多いのです

世界のCO2排出量だけを国別で見ると中国が圧倒的に多く(世界全体の約28%)、日本のCO2排出量(約3.2%)は少なく感じますよね。そのため、心のどこかで「地球を汚しているのは私たち日本人ではなく、他の国が悪いんだ」と考える人がいるかもしれません。しかし、国単位ではなく人単位でCO2排出量を算出してみると、アメリカや日本を含む先進国の方が中国より圧倒的にCO2を排出していることがわかります。さらに、これは時間軸を無視した算出に過ぎません。歴史を遡り、現時点だけではなく、これまでこの地球により多くのCO2を排出してきたのは誰なのか?を考えれば、より多くの先進各国が当てはまることでしょう。だからこそこの責任は先進国の方が重く、地球の環境問題について考えることは全人類共通の課題だと私は思います

脱炭素社会に向けた世界の動き

地球温暖化が深刻化している今、このように国際社会全体で「脱炭素化」の流れは強まり、世界共通の目標となっています。ここでは、各国が脱炭素化に向けてどのような取り組みを行っているのか見ていきたいと思います。

アメリカ

世界第2位の二酸化炭素排出国(世界全体の14.7%)である米国は、2020年11月の選挙で勝利し大統領に就任したジョー・バイデン政権が積極的な気候変動対策を打ち出しています。

2021年2月には、トランプ前政権が離脱した地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」に復帰。さらに同年4月には「気候変動サミット」を主催し、温室効果ガス排出量を2030年までに50~52%削減(2005年比)する目標や、2035年までに炭素汚染のない電力部門構築、排出ガスゼロ車両の調達促進などの計画を策定しました。

今回のCOP26では、トランプ前政権で米国がパリ協定を脱退したことについて「謝罪したい」と発言。首脳級会合での演説では、環境重視となった米国について「できれば手本となって世界を先導したい」「言葉ではなく行動で示す」など、世界各国からの信頼獲得に腐心する様子が伺えました。経済大国でもある米国では、CO2の排出を抑えることが経済衰退に直結しかねません。それだけに温室効果ガスの削減がなかなか難しいと考えられますが、バイデン政権の前向きな姿勢は評価したいですね。

イギリス

カーボンニュートラル先進国とも言われる英国は、「気候変動は国の経済と安全保障を脅かす重要な課題」と位置づけ、世界に先駆けてさまざまな対策を行ってきました。2008年には「気候変動法」を採択。2050年までに温室効果ガス排出量を少なくとも80%削減することを世界で初めて法律で定めたのです。さらに現在は、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするという目標に引き上げられています。

COP26の議長国もあった英国は、今回のCOPで石炭火力発電の廃止について強く言及。先進国は2030年、途上国は2040年までに石炭火力発電を廃止することを提案しました

英国の電力構成における再生可能エネルギーの割合(2020年)は、風力24.2%、バイオエネルギー12.6%、太陽光4.2%、水力2.2%の計43.1%。2012年には40%を占めていた石炭火力発電は、わずか1.8%に留まります。英国はまさに世界の先陣を切って「脱石炭」を推し進めていると言えるでしょう

英国は先進国の中でもっとも温室効果ガス抑制に前向きであり、経済と脱炭素の両立を果たしている素晴らしい国だと思います。ただし原子力発電への依存度が高く、それを批判する意見もあります。個人的には、CO2を減らすためには原子力発電も一つの有効な手段だと思います。

ロシア

世界4位の温室効果ガス排出国であるロシアは、政府歳入の約4割をガスや石油産業からの税収に依存。そのため、財政への打撃となる「脱炭素」に対して消極的な姿勢が度々批判されています。

ロシアでは現在、永久凍土の溶解によるさまざまな影響が深刻な社会問題となっています。ロシア国土の約3分の2は永久凍土層の上に位置しており、その影響は甚大。永久凍土には大昔の植物や動物の死骸が凍った有機物として保存されていて、数十億トンに上る温室効果ガスが内包されています。溶解によってそれらが大気中に放出されるだけではなく、長年氷に閉じ込められた病原菌などの露出が懸念されています。実際に2016年には、ロシアの北極圏・ヤマロネネツ自治管区で、溶けた永久凍土から炭疽菌に汚染された動物の死骸から住民が集団感染する事故が起きています。

また、地盤沈下発生によって建物が傾いたり道路に亀裂が入るなど、その影響はインフラや生活圏にも及んでいます。このように他国よりも温暖化の影響をダイレクトに受けるロシアの現状を考えると、脱炭素に対してもっと前のめりな姿勢を見せても良いのではないかと感じますね。

中国

CO2排出量が世界最多の中国も、脱炭素に向けた動向が気になる国の一つですね。習近平(シージンピン)政権は、2030年までにCO2排出量を減少に転じさせ、60年までに実質ゼロとする国際公約を掲げています。この公約への具体策として、中国共産党と政府はCOP26開催前の今年10月に、1次エネルギー消費に占める非化石燃料の割合を2060年までに現在の16%から80%以上にする方針を打ち出しました

とはいえ、現在も石炭火力発電所の建設ラッシュが続く同国では電源構成の約6割を石炭火力発電に依存。高い経済成長を目指す中国が石炭火力を減らすのは、容易なことではないと誰もが想像できると思います。

今回のCOP26では、アメリカのバイデン大統領が習近平国家主席がの欠席について「大きな過ちだ」と批判したことが話題となりましたが、閉会の数日前になって米中が気候変動対策での協力を強化することを盛り込んだ共同宣言を発表。具体的な目標には欠くものの、政治的に大きな意味を持つ動きとなったことは間違いないでしょう。

日本

日本の動きについては、冒頭の岸田総理の演説でも紹介した通り、2020年10月に菅首相が所信表明演説で「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現」を宣言。2021年4月には温室効果ガスの削減目標を「2030年度に46%減(2013年度比)」と、当初の26%減から大幅に引き上げました

岸田総理はCO2削減に前向きな印象ですが、石炭火力への依存から抜け出せない日本に対する風当りは強まっています。今回のCOP26では、イギリスが石炭火力発電廃止に対する声明を発表し40以上の国が賛同したのに対し、日本は賛同しなかったことで厳しい視線が注がれています。

日本が石炭火力に依存する背景には、原発に対する世論が大きく影響しています。東日本大震災で被災した福島第1原発の事故以降、これまで頼ってきた原発は稼働していません。そのなかで石炭火力に依存せざるを得ないのが現在の日本の状況なのです

2019年度のデータでは、石炭火力による発電は日本の電源構成の31%余りを占めています。石炭火力からの脱却はもはややるやらないという問題ではなく、どの国も遅かれ早かれ対応必至の事項です。そのスピードは各国の事情により異なりますが、日本は2021年10月に閣議決定した「エネルギー基本計画」で、2030年度でも発電の19%を依然として石炭火力で賄うという見通しを発表。政府としては、再生可能エネルギーを増やしても2030年までの石炭火力の廃止は現実的に難しいという考えのようです。これに対しても脱石炭を掲げるヨーロッパ諸国などから消極的だと批判の声が上がる可能性もあります。

化石燃料事業への公的融資停止

このように世界の国々がCO2排出量の削減を目指すなか、今回のCOP26で大きな話題となったのが「化石燃料事業への公的融資停止」です。米国を含む20カ国が、2022年末までに国外の化石燃料事業への融資を全面的に停止すると誓約したのです。クリーンエネルギーに資金を振り向ける狙いです

これに対しても日本が参加しなかったことが取り沙汰されているが、何度も言う通り、エネルギー事情は国により全く異なります

イギリスは石炭火力による発電が5%(IEA=国際エネルギー機関の2018年のデータ)で、イギリス政府は2024年までにそれをすべて廃止することを表明しています。

一方、ドイツは再生可能エネルギーの導入を積極的に進めているものの、石炭火力による発電は37%余りを占めています。その中でもメルケル政権は、国内の石炭火力を2038年までに廃止することをすでに表明。また2021年9月に行われた連邦議会選挙で第1党になった社会民主党は、第3党の緑の党と第4党の自由民主党との連立交渉の中で、2030年までの石炭火力廃止を目指すことで合意しています。

アメリカも石炭火力が28%余りを占めていますが、2035年までの電力部門の脱炭素化を掲げ、発電に伴うCO2排出をゼロにすることを目指しています。太陽光発電などの再生可能エネルギーや原子力発電の活用で石炭火力の削減分を補うほか、発電所から出るCO2を地中に貯蔵する技術を活用し排出を抑えていくとしています。

世界最大の温室効果ガス排出国である中国は、石炭火力が66%余りを占めています。日本同様に「化石燃料事業への公的融資停止」の誓約には参加せず、当面は化石燃料への依存が続く見通しです

石炭火力が少ない国であれば石炭を全廃しても自国産業に与える打撃は少ないが、石炭火力の割合が高い国にとってその影響は甚大です。今回のCOP26でも脱石炭の道筋を示すことができなかった日本への逆風は強まっていますが、石炭火力発電の廃止を早々表明している国々では原子力による電力が多くをまかなっているなど、各国それぞれ違った事情を抱えていることは覚えておきたいですね。

「COP26は失敗」だったのか?

このように各国異なるさまざまな事情を抱えてはいるものの、人類共通の課題である地球の環境問題についてそれぞれの国が真摯に向き合うことは必至です。その意味では、今回のCOP26は一定の成果を上げることができたと評価できそうです。何よりもまず、「気温上昇を1.5℃に抑える」という合意文書が採択されたことにより、地球温暖化に対する世界全体の目標がより強固となったのは間違いないでしょう

その一方で、COP26開催期間中に会場の外では多くの市民や若者が集まり、デモ行進が行われていました。なかでもスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんは、COPについて「2週間にわたる『現状維持』の祝福と無駄なおしゃべり」「明白な失敗だ」と批判。各国のリーダーはきれいごとを言っているだけでアクションを起こしていないと訴えました。

彼女は環境保護の観点から、菜食主義やアップサイクリング(廃棄物や不要な製品を環境価値が高く良い品質のものに交換すること)を行い、日常生活の中でもCO2の排出量が少ないライフスタイルを実践していることでも知られています。彼女の環境保護に対する想いは素晴らしいですが、それを他人に押しつけてはいけないと私は思います

私たちにできること

さまざまな意見がありますが、想いは皆同じです。自分の大切な子どもや孫に豊かで美しい地球を残し、より快適な生活を送ってもらいたいと考えない人間はいないのですから。そのためにはやはり、人類の繁栄、つまり経済や文明の発展と両立できる持続可能な目標を考える必要があると思います

今私たちがすべきことは、政府を批判することではなく、まずは各自が環境保護について目を向け、自分ができる身近なことから行っていくことではないでしょうか?

そのような想いで、私はエコ商材の販売や施工を始めました。以前このブログ記事でも紹介しましたが、当社が販売しているエコキュートはCO2削減に大きく貢献するものです。

エコキュートが環境保全に役立つ理由

エコキュートは、空気の熱を集めて高温にする「ヒートポンプユニット」とお湯をためておく「貯湯タンクユニット」で構成されています。

ヒートポンプで空気を取り込んだら、熱交換器でその熱だけを集めて高温にします。このとき熱を移動させる冷媒に使われているのがCO2。高温の熱にコンプレッサーで強い圧力をかけて、さらに高温の冷媒を作ります。その熱を熱交換器で水に移すことによってお湯を作るのがエコキュートなのです。

お湯を沸かすためには多くのエネルギーが必要ですが、エコキュートはヒートポンプ技術で空気熱を活用することで少ないエネルギーでお湯を沸かすことができます。電力消費が減ってCO2の排出量が少なくなるということです

従来型の燃料式給湯器に比べると、なんと約50%もCO2の排出を抑えることが可能に。さらにヒートポンプが空気熱を吸収して大気を冷却させることでも、地球温暖化の軽減に貢献することができるのです

ご自宅で毎日使う給湯器をエコキュートに変えるだけでも、環境保護に寄与できると思うとうれしいですね。このほかにも、私たち企業や個人ができることはまだまだ沢山あると思います。それぞれができることから少しずつ始めましょう。

当社では今後も「環境問題改善に貢献したい」という思いを大切に、事業を行っていきます。エコキュートの設置や交換をご検討されている場合は、ぜひ一度お問い合わせください。

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