エコキュートの交換に「こどもエコすまい支援事業」は使える? 補助金額や条件を解説

現在、エコキュートを交換する際に補助金が支給される事業がいくつか実施されています。前回は高機能なエコキュートを対象とした「給湯省エネ事業」についてお話しました。今回は現在同時に実施されている「こどもエコすまい支援事業」について、補助額や条件について詳しく解説します。

<この記事のポイント>

当社は「こどもエコすまい支援事業」の登録事業者で、当社で取り扱っているほとんどのエコキュートは補助対象商品です。しかし同事業はエコキュートの設置だけでは補助金支給の対象条件を満たさず、同時に住宅の省エネリフォームを行う必要があります。エコキュートの交換のみをご希望の場合は対象になりません。

※「給湯省エネ事業」において交付決定を受けている場合、同一の工事に対して重複して補助金の交付を受けることはできません。

目次

「こどもエコすまい支援事業」とは?

国土交通省が行う「こどもエコすまい支援事業」は、2050年のカーボンニュートラルの実現を目指すためにエネルギー価格高騰の影響を受けやすい子育て世帯や若者夫婦の世帯等に省エネ投資の支援を行う事業です。高い省エネ性能が備わった新築住宅の購入や、省エネ設備の改修など住宅のリフォームが対象です。

それぞれ対象条件が細かく設定されているので同事業を活用できる世帯は限られますが、新築購入やリフォームを検討している場合はお得に工事を行える可能性があります。

対象条件は?

補助金額や対象条件は事業によってそれぞれ異なります。ここでは注文住宅を新築する、または新築分譲住宅を購入する場合と、リフォームを行う場合に分けてそれぞれ紹介します。

①注文住宅を新築する/新築分譲住宅を購入する場合

対象住宅ZEH住宅
※強化外皮基準かつ再生可能エネルギー等を除くー次エネルギー消費量▲20%に適合するもの
補助額100万円/1戸
世帯条件18歳未満の子どもがいる世帯か、夫婦のいずれかが39歳以下の世帯
その他条件こども工コすまい支援事業者と工事請負契約を締結し住宅を新築すること
※住戸の床面積や立地などその他条件あり(下記参照)
対象期間令和4年11月8日以降に基礎工事より後の工程の工事に着手するもの。
※ただし令和5年12月31日までに工事が一定以上の出来高に達した上で交付申請を行い、
別途定める期間内に完了報告が可能なものに限る

高い省エネ性能(ZEHレベル)を有する住宅を新築、または新築分譲住宅を購入する場合に、1戸あたり100万円が補助されます。ただし対象となるのは、子育て世帯か若者夫婦世帯に限られます。

子育て世帯とは申請時点において、子(年齢は令和4年4月1日時点※で18歳未満。
すなわち平成16年(2004)年4月2日以降出生の子)を有する世帯
※令和5年3月31日までに建築着工するものについては、令和3年4月1日時点
若者夫婦世帯とは申請時点おいて夫婦であり、令和4年4月1日時点※でいずれかが39歳以下である世帯
※令和5年3月31日までに建築着工するものについては、令和3年4月1日時点

また、下記の条件を満たす必要もあります。

<対象となる新築住宅>

①所有者(建築主)自らが居住すること

②住戸の床面積が50㎡以上であること

③土砂災害防止法に基づく、土砂災害特別警戒区域外に立地すること

④都市再生特別措置法第88条第5項の規定により、当該住宅に係る届出をした者が同条第3項の規定による勧告に従わなかった旨の公表がされていないこと

⑤不動産売買契約締結時点において、未完成または完成から1年以内であり、人の居住の用に供したことのないもの

⑥証明書等により、高い省エネ性能(ZEHレベル)を有することが確認できる

⑦交付申請時、一定以上の出来高の工事完了が確認できること

期間は、2022年11月8日以降に一般的に基礎工事の次の工程である地上階の柱、または壁の工事等を開始するものが対象となります。交付申請期間は、2023年3月下旬~予算上限に達するまで(予算の上限に達し次第の終了となりますが、遅くとも2023年12月31日まで)。

また、ほかの補助金との併用はできません。「注文住宅の新築」および「新築分譲住宅の購入」の補助金の交付を受けた住宅と同じ住宅については、「給湯省エネ事業」の補助金の交付を受けることはできません

②リフォームを行う場合

対象工事開口部の断熱改修/外壁、屋根・天井又は床の断熱改修/エコ住宅設備の設置/
子育て対応改修/防災性向上改修/バリアフリー改修/
空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置/リフォーム瑕疵保険等への加入
※ただし各種申請条件あり(下記参照)
補助額対象工事内容ごとの補助額の合計(原則上限30万円/戸)
※補助額が合計5万円以上で申請可能
世帯条件とくになし
※ただし子育て世帯または若者夫婦世帯の場合、
条件に応じて補助額が引きあがる可能性あり
その他条件こども工コすまい支援事業者と工事請負契約等を締結しリフォーム工事をすること
リフォームする住宅の所有者であること
対象期間着工が2022年11月8日〜交付申請まで(遅くとも2023年12月31日)

住宅の所有者がこどもエコすまい支援事業者と契約し対象となるリフォーム工事をする場合、リフォーム箇所に応じた補助を受けることができます。工事の内容により補助額が決まっており、原則として1戸あたり30万円が補助の上限です。ただし、子育て世帯または若者夫婦世帯が自ら居住する住宅に行うリフォームや、工事発注者が自ら居住するために購入した既存住宅に行うリフォームの場合は補助の上限が引き上げられます。

対象となるのは、下記の①~⑧に該当するリフォーム工事です。

ただし④~⑧の工事については、①~③のいずれかと同時に行う場合のみ補助の対象となります。それぞれ工事の内容によって申請できる補助額が設定されており、補助額の合計が5万円未満の場合は申請できません。また、申請には対象工事に関する証明書等が必要です。

さらに、以下に該当する工事は補助の対象になりません。

補助対象外の工事

・ドアの一部および欄間に取り付けられたガラスを交換する工事

・店舗併用住宅等の住宅以外の部分の工事

・住宅の所有者等が住宅設備を購入し、その取付を住宅事業者に依頼する工事

(いわゆる施主支給や材工分離による工事)

・外皮以外の部分(外気に面しない間仕切壁)の窓やガラス、ドアの工事

・屋外に設置した手すり工事や、屋外の段差解消の工事

・太陽光発電設備の設置工事

・家庭用燃料電池コージェネレーションシステム(エネファーム)の設置工事

・リース設備の設置工事

・中古品を用いた工事

期間は、2022年11月8日以降から交付申請(遅くとも2023年12月31日)までに着工されたものが対象。交付申請期間は、2023年3月下旬~予算上限に達するまで(予算の上限に達し次第の終了となりますが、遅くとも2023年12月31日まで)。

また、同一の補助対象となるリフォーム工事に対してほかの補助金との併用はできません。「リフォーム」の対象建材・設備は一部、「給湯省エネ事業」においても補助対象となりますが、「こどもエコすまい支援事業」で補助金の交付を受けたリフォーム工事に関して「給湯省エネ事業」の補助金の交付を受けることはできません

エコキュートの設置で補助金はいくらもらえる?

エコキュートの交換工事を専門に行う当社のお客様において、同事業を活用できる可能性があるとすれば「リフォーム工事」で申請できる補助金です。

エコキュートの設置は、上記の③に含まれます。対象となるエコキュートは、JIS C9220:2018に基づく年間給湯保温効率、または年間給湯効率が3.0 以上(ただし寒冷地仕様は 2.7 以上)のもので、設置台数によらず1戸につき27,000円の補助額が設定されています

ここでポイントとなるのが、同事業は補助額の合計が5万円以上でないと申請できないということ。エコキュート設置の補助額は27,000円なので、これだけでは補助の申請とならないのです

つまり、エコキュートの交換設置で同事業を活用するためには、外壁や屋根の断熱改修や手すりを設置する等のバイアフリー改修など、ほかのリフォーム工事を同時に行う必要があります。当社でエコキュートの交換工事を依頼されるお客様の多くは故障したエコキュートをすぐに交換したいという場合がほとんどなので、同事業を活用できるケースは少ないのが実情です

当社は「こどもエコすまい支援事業」の登録事業者です

当社のお客様において同事業を活用できるケースは少ないとお話しましたが、当社は「こどもエコすまい支援事業者」として登録されています。当社で行った工事が同事業の補助対象となる場合には、交付申請等の手続きの対応を行っています。ご自宅のリフォームをまとめて行う場合など、対象となる場合はご相談くださいませ。

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