エコキュートのお湯が出るまでに時間がかかるのはなぜ? 原因について解説
お風呂やキッチンでお湯を出す際、最初に出てくる冷たい水が嫌だという人は多いはず。とくに寒い冬には一刻も早く温かいお湯を使いたいですよね。そこで今回は、お湯が出てくるまでに時間がかかる理由や、エコキュートの場合にできる対策についてお話しします。
蛇口を開いてからお湯が出るまでの時間が長い理由
そもそもお風呂のシャワーにせよ、キッチンの蛇口にせよ、お湯を使いたくて蛇口をひねってもすぐにお湯が出ないのはどうしてなのでしょうか。その理由を理解して頂くために、まずは給湯時のお湯の流れ方について説明します。
こちらは、タンクからシャワーまでの配管の様子を表したイラストです。蛇口がしまっているときも配管内にはたくさんの水が入っていて、水圧がかかった状態です。
ここからシャワーを出し始めると、その瞬間に貯湯タンクから配管に向かってお湯が流れ始めます。とはいえ、お湯が出始めたときも配管内は水でいっぱいの状態なので、シャワーからは配管内に残っていた水が先に流れ出るのです。これが、シャワーを使い始めてからお湯が出るまでの間に流れる冷たい水です。
そして、配管内に残っていた水がすべてなくなり、上の図のような状態になるとお湯が使えるようになるのです。これが、蛇口を開いてからお湯が出るまでに時間がかかる理由です。
お湯が使える状態でシャワーを止めると配管内にはお湯が残りますが、しばらくして熱が冷めるとまた水に戻ってしまいます。そのため、シャワーを一度止めてから再びシャワーを使うときに、また冷たい水が出ることがあるのです。
配管の長さで変わる「捨て水」の量
給湯の仕組みがわかれば、お湯が出るまでに冷たい水が出ること自体はある程度仕方ないことだとご理解頂けたかと思います。とはいえ、その時間があまりにも長いと、お湯になるまでにムダにする水(捨て水)が多く気になりますよね。では、この長さの違いはどうして生まれるのでしょうか?
その答えは、給湯器(エコキュート)からお湯が出る場所までの距離に関係しています。
お風呂でシャワーを開けると、貯湯タンクで作られたお湯が配管を通って流れ出るというのは上で説明した通りです。このときタンクからお風呂場までの距離が遠ければ遠いほど、お湯の通り道(2地点を繋ぐ配管)は長くなります。そしてその分、お湯が出るまでの時間も長くなってしまうのです。
ですから通常、エコキュートは水道が立ち上がっている水回りに近い場所に設置されます。新築の場合は設計段階でエコキュートの設置位置も考慮されていることがほとんどですが、増設などで新たにエコキュートを設置する場合は配管の長さを考慮して設置場所を決めることが大切です。
浴槽約800回分の水がムダに!?
仮に、貯湯タンクからお風呂場のシャワーまでの距離が10mあったとします。給湯配管には20A配管(外形27.2mmの配管)が使われる場合が多いのですが、その場合1mに約0.37Lの水が入ります。すなわち、エコキュートからシャワーまでの距離が10mあった場合は、約3.7Lの水が配管内に入っていることになります。つまり、シャワーを出し始めてからお湯になるまで使うのを待っていた場合、毎回約3.7Lの水をムダにすることになるのです。
もし仮に1日10回お風呂のシャワーを出す(5人家族で1人2回と想定)とすると、1日で約37L、年間で約1万4,000Lのお湯が捨て水に。これを10年(エコキュート平均寿命)続けると、約14万Lのお湯を捨てることになります。これを満水にした浴槽(180L)に換算すると、じつに約778回分に相当します。
もしこの配管の長さが5mだった場合、全く同じ条件でお風呂を使ったとしても、捨て水の量は一気に半分になりますよね。ですから、住宅設計時には配管の長さが最短になるよう考慮してエコキュートの設置位置が決められているのです。
当社では、エコキュートを交換する際に本体の設置位置を変更した事例もあります。その際は、エコキュートを最適にお使い頂けるよう経験豊富な熟練スタッフがお客様のご自宅環境に合わせて最善の施工をいたします。