エコキュートの「水抜き」しないと…?手順や重要性を徹底解説

エコキュートの水抜きは、忘れてはならないメンテナンスの一つです。
しかし、中には購入してから一度も水抜きをしたことがないという方もいらっしゃるでしょう。
これまでとくにトラブルが発生していなくても、知らずにトラブルの原因を作ってしまっているかもしれません。
そこで今回は、エコキュート水抜きの重要性についてお話しします。
水抜きのメリットや手順、注意点などについても詳しく解説していくので、ぜひチェックしてみてください。

目次

エコキュートの水抜きが必要な理由

エコキュートの水抜きが必要になるのは、主に4つの理由があります。

  • 貯湯タンク内に不純物が溜まる
  • 浴槽に汚れが浮く
  • お湯に黒いゴミが混ざる
  • エコキュートの寿命が短くなる

貯湯タンク内に不純物が溜まる

エコキュートは、貯湯式の電気温水器です。  
ヒートポンプユニットで沸かしたお湯は、一度貯湯タンクに貯める必要があります。  
使用する水道水は衛生的ですが、ナトリウムやカルシウム、カリウムなどを始め、ごくわずかな不純物が含まれています。  
そのため、水抜きをおこなわないと、不純物が貯湯タンクの内部に溜まって沈殿してしまうのです。  
水抜きをすることで貯湯タンク内に溜まった不純物が排出され、より清潔な水を使えるようになるでしょう。

浴槽に汚れが浮く

長い期間水抜きされないと、貯湯タンクの不純物は固まった汚れとなり、お湯張りの際に流れ込むことがあります。  
フィルター詰まりの原因になることも、浴槽に浮いて不潔に見えることもあるでしょう。  
また、排水溝のような嫌な臭いを感じることもあるかもしれません。  
新しくお湯を張ったのに、湯垢のようなものが浴槽に浮いていたり、何だか嫌な臭いがしたり……といったトラブルが起こる前に、定期的に水抜きをしてください。  
エコキュートの故障を疑うような状況であっても、水抜きをしただけで、一気にトラブルが解決したというケースもあります。

お湯に黒いゴミが混ざる

エコキュートを設置してから年月が経過すると、製品そのものに問題はなくても、内部のパーツは確実に劣化していきます。  
とくに配管の接続部分に使われているゴムパッキンは、素材の性質上、経年劣化しやすいパーツです。  
ゴムパッキンが劣化すると、一部が剥がれ、お湯の中に黒いゴミとして混ざることもあります。  
これも水抜きをして貯湯タンク内の清掃をおこなうことで、ゴムパッキンから出た黒いゴミを取り除けるでしょう。  
エコキュートの水抜きをしても黒いゴミが混ざってしまうようであれば、ゴムパッキンの劣化が進んでいるということですので、パーツ交換が必要になるケースもあります。  
また、寿命の目安とされている10年ほどを経過しているならば、エコキュート本体そのものの交換を検討しても良いタイミングかもしれません。

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エコキュートの寿命が短くなるリスク

不純物や汚れが含まれた水は、浴槽のフィルターを詰まらせる原因になります。  
循環口に取り付けられたフィルターは、浴槽内のお湯も循環するため、皮脂汚れのような浴槽内の汚れも溜まりやすい箇所です。  
風呂配管(追い焚き配管)から貯湯タンクへは逆流しないため、貯湯タンク内まで汚れるような事態にはなりません。  
しかし、フィルターが詰まるとお湯の出入り悪くなり、エコキュート本体に負担がかかります。  
たかが水抜きやフィルター掃除と思いがちですが、それがエコキュート本体の寿命を短くするリスクや、故障原因につながってしまうのです。  
また、稼働効率も悪くなるため、電気代が余計にかかる恐れがあることも心配しなければなりません。

エコキュートの水抜きをするメリット

そうとは言っても、「メンテナンスは面倒くさくて…」と感じる方もいらっしゃるでしょう。  
しかし、エコキュートを水抜きすることには、多くのメリットがあるので、ぜひ実施してください。  
例えば、エコキュートの水抜きを定期的におこなえば、いつでも清潔なお湯が使えます。  
顔や体を洗うお湯が清潔であれば、心地良く洗顔やバスタイムを楽しめ、リフレッシュにつながるでしょう。  
また、エコキュートの寿命を延ばすことも可能です。  
エコキュートの寿命は10~15年ほどと言われていますが、適切に使用しなければ当然短くなります。  
水抜きを始めとする適切なメンテナンスをすれば、費用をかけて購入したエコキュートを、寿命までしっかり使えるでしょう。  
さらに、貯湯タンク内の水は、非常時に生活用水として使えます。  
そのままでは飲用できませんが、いざとなれば沸かして飲めるというのはメリットです。  
しかし、お湯が汚れていれば、飲むことはできません。  
万が一の際に備えて、貯湯タンク内をできるだけ清潔に保つことが大切です。

したことない人も必見!エコキュートの水抜き手順

次にエコキュートの風呂配管・貯湯タンクユニットの洗浄・水抜きの手順をご紹介します。以下、ダイキンのエコキュートを例にした、清掃目的の水抜き方法です。  
自分でできるか心配な方は、有料にはなりますがメーカーの「貯湯タンク清掃サービス」や、業者への依頼を検討してみましょう。

風呂配管の洗浄・水抜き手順

以下の手順で、風呂配管内に残っていた汚れが、水と共に浴槽内へ排水されます。  
後はフィルターをブラシで掃除すれば、フィルターの汚れが風呂配管内に戻ることもありません。  
しかし、汚れがひどく、お湯張りをした際に再度汚れが出てくるようであれば、再度配管洗浄をおこないましょう。機種によって方法は異なりますので、取扱説明書やメーカーホームページも併せてチェックすることもオススメします。

  1. まずは風呂の自動運転を切り、浴槽にお湯を張ります(風呂接続アダプターから10cm以上お湯をためてください)そして洗浄剤を入れます。(推奨洗浄剤:ジャバ)
  2. お湯を抜かずに「メニュー」を押します。▲▼で「ふろ配管洗浄」を選び決定を押してください。
  3. 決定を押すと「配管を洗浄します/配管洗浄中..」と表示されます。
  4. 洗浄が完了したら風呂の湯を抜いてください。
  5. 次に配管をすすぐ工程に移ります。蛇口から水を貯めます(風呂接続アダプターより10cm程度)
  6. 再度、手順の2と3を行い15分程度配管をすすいでください。

※フルオートタイプのみ

貯湯タンクユニット内部の洗浄・水抜き手順

貯湯タンクの水抜きは、エコキュートの周りで作業する必要があります。  
プラスドライバーやマイナスドライバーなどが必要になるため、あらかじめ用意しておきましょう。  
※貯湯タンク下部の、脚部カバーは取り外した状態で作業を行ってください。

  1. 貯湯タンクの「漏電遮断器(漏電ブレーカー)」をオフにします。  
    ※機種によって取付箇所が違うので、取扱説明書をご確認ください。
  2. 給水配管の途中についている「給水側止水栓」を閉め、万が一の際に放水しないようにします。
  3. 貯湯タンク上部の点検口(逃し弁カバー)を開け、中の「逃し弁レバー」を手前に起こしてください。
  4. 「排水栓」を開いて、2分ほど水を出し続けタンクの汚れを流します。
  5. 排水後、「排水栓」を閉じます。
  6. 「給水側止水栓」を開きます。
  7. 排水口(排水ホース)から、水(お湯)がしっかりと出ることを確認します。  
    ※空気が混じっていないか確認してください。
  8. 「逃し弁レバー」を元に戻し、「漏電遮断器(漏電ブレーカー)」をオンにします。
  9. 各カバーを取り付け直して完了です。
出典ダイキン | 知っておきたいエコキュートのお手入れ

作業中に勢いよく水が飛び出すことがあり、慌てるかもしれません。  
しかし、この水の勢いで沈殿した不純物や汚れを取り除くので、排水栓の開き具合を調整する必要はありません。  
作業としては難しいものではないですが、こちらも風呂配管の水抜き同様、自分でできるか心配な方は、メーカーの「貯湯タンク清掃サービス(有料)」や、業者への依頼を検討してみましょう。  

また、沈殿物を取り除くための簡単な水抜きなら1~2分程度で十分ですが、本格的な水抜きは、排水までに1時間以上かかることがあります。  
本格的な水抜きが必要になるのは、例えば、長期的にエコキュートを使っていなかった場合です。  
貯湯タンク内に残った水が腐っている可能性があるため、その場合は貯湯タンク内の水を全て捨ててからお湯張りをおこなうようにしてください。

エコキュート水抜きの頻度は半年~1年が目安

エコキュートの水抜きは、半年~1年に一度が目安です。  
循環口に取り付けられたフィルターと違い、貯湯タンクや配管といった内部は目視できず、どの程度汚れているか確認できません。  
しかし放置すれば、知らず不衛生なお湯を使うことになったり、エコキュートの寿命を縮める要因になったりします。  
そのため、定期的におこなう習慣をつけるのがお勧めです。  
「夏季休暇や年末年始などにはエコキュートの水抜きをおこなう」といった計画をぜひ練ってみましょう。  
忘れるかもしれないと不安な人は、カレンダーに水抜き予定日を記載したり、アプリのスケジュール機能で管理したりといった方法を試してみると良いかもしれません。

エコキュートの水抜きに関する注意点

勢いよく水が飛び出すことがあるので注意

エコキュートの水抜きでは、止水栓や給水栓、給湯栓を操作することがあります。  
その際、状況によっては勢いよく水が飛び出すこともあるので注意してください。  
設定温度次第では、飛び出した熱湯によって火傷することもあり得ます。  
慎重におこなえば、そういったトラブルが防げるので、焦らず一つひとつ確実におこなうようにするのが大切です。  
あらかじめ手順をまとめたメモを作成したり、メーカーが公開している動画を再生したりしながら作業するのもお勧めです。

冬期0度を下回るようなら水抜きはしない方が良い

エコキュートの水抜きは、少なくとも0度以上の気温がある環境でおこないましょう。  
風呂配管の水抜きであれば良いですが、貯湯タンクやヒートポンプユニットの水抜きは、排水中に凍結するおそれがあります。  
凍結してしまうとエコキュートの稼働に差し支えるため、とくに冬期の水抜きについては、注意が必要です。  
冬期に水抜きをおこなう場合は、日中のような、できるだけ暖かい時間帯を選ぶようにしてください。  
雪が積もるような寒冷地方の場合、外気温が0度以下になる時期を外して、水抜きのスケジュールを立てると良いでしょう。

数年おこなっていないのであれば業者に依頼も検討

「エコキュートを購入して数年経つのに、一度も水抜きをしたことがない……」という方もいるかもしれません。  
長期間水抜きをしたことがない場合、一度作業をおこなっても完全に不純物や汚れを取りきれないケースも多々あります。  
そのような数年水抜きをおこなったことがないというケースでは、業者に依頼するのも良いでしょう。  
業者に依頼すれば貯湯タンクや配管周りがキレイになるだけでなく、点検も同時に受けられます。  
その際に、何らかのメンテナンスや修理が必要になるケースもあります。  
エコキュート本体の寿命は10年程度と言われていますから、状況に応じては修理ではなく、交換を検討しても良いかもしれません。

まとめ

エコキュート水抜きの重要性やメリット、実際の手順や注意点などについて詳しく解説しましたが、いかがだったでしょうか。  
エコキュートの水抜きは、清潔なお湯を使い、エコキュートの寿命を伸ばすために必要な作業です。  
また災害時、エコキュート内の水を非常用水として使いたい方にとっても、水抜きは大切な作業といえます。  
水抜き作業そのものは、取扱説明書やメーカーのホームページを見れば、初めてでも簡単にできるので、ぜひ挑戦してみましょう。  
水抜きの頻度としては、半年から1年に一度程度が推奨されているので、スケジュールを立て、計画的におこなうことをお勧めします。  
水抜きをおこなっても汚れが度々出るようであれば、修理や交換の時期に差し掛かっているかもしれません。  
エコキュートの交換や買い替えの際は、ぜひ急湯デポにご相談ください。

この記事の監修者

施工管理部 大阪施工センター長

仲井 康朗

施工管理者 仲井 康朗 です。

給湯器工事に携わって10年。日々エコキュートの施工管理を行う傍ら、お客様にエコキュートの情報をお伝えする当ブログの監修もしています。

保有資格

  • 北海道 / ⻘森県 / 第二種電気工事士免状 第 164447号
  • 液化ガス設備士免状 大阪府 142762005【LPG】
  • ガス簡易内管施工士資格証 15990024【都市ガス】
  • ガス可とう管接続工事監督者講習修了証 27130129【都市ガス】県 / ⼭形県 / 島根県 / 沖縄県

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