【エコキュート交換工事施工例】設置後に「漏電」⁉ エコキュートの漏電対策について

エコキュート交換工事の様子や、それにまつわるトラブル事例を紹介するこのコーナー。今回紹介するのは、東京都町田市M様邸の施工例。交換工事後に「漏電している」と緊急連絡を頂いたので、確認のため再度ご自宅に伺いました。

<交換工事概要>

【交換前設置EQ】

メーカー:ダイキン

システム型式:EQ37E2FV

貯湯ユニット型式:TU37EFV

ヒートポンプユニット型式:RQW45EV

リモコン型式:BRC956A1

製品タイプ:角型 > フルオート > 標準圧 > 370


【交換後EQ】

メーカー:ダイキン

システム型式:EQ37VFV

貯湯ユニット型式:TU37VFV

ヒートポンプユニット型式:RQW45UV

リモコン型式:BRC083C1

製品タイプ:角型 > フルオート > 高圧 > 370

目次

エコキュートからまさかの漏電⁉

M様からエコキュート交換のお問い合わせを頂いたのは今年の5月。10年以上使われたエコキュートが故障したというご連絡があり、新しいものに交換することになりました。同じメーカーのエコキュートへの交換ということもあり、交換工事自体はすぐに終了。その後もとくに問題なく使われていたようでしたが、施工してから3カ月以上経った9月に再度M様よりご連絡があったのです

お電話頂いたM様の話によると、「どこかで漏電している」とのこと。エコキュートを新しいものに交換してから、ご自宅の漏電ブレーカーが落ちるようになったそうです。住宅の漏電ブレーカーが落ちた場合、その原因がどこにあるのか予想するのは難しいのですが、漏電ブレーカーが落ちるようになってから一番最近交換したものがエコキュートだった為、「エコキュートに原因があるのでは?」と考え、当社にご連絡頂いたとのこと。

エコキュートはそもそも何重にも漏電対策がされていることや、施工から3カ月以上経過していることを考えると、当社で設置したエコキュートが原因である可能性は少ないと感じましたが、万が一のことがあってはいけない、お客様の「困った」を解決したいという思いですぐに電気工事士を向かわせました。

漏電とは?

ここでまず、そもそも「漏電」とはどのようなものなのかお話ししたいと思います。エコキュートの漏電対策について説明する前に、まずは漏電が発生する仕組みや危険性、対処法について確認しておきましょう。

漏電の仕組み

漏電とは、読んで字のごとく「電気が漏れる」状態を表します。電気は本来、電線やケーブルの中を通りますが、これらは通常、電気が外に漏れないように電気を通しにくい物質(絶縁)で覆われています。しかしこの絶縁が劣化して剥がれてしまったり、傷ついたりすると、電気が外に流れ出てしまう恐れがあります。これが「漏電」です。

そのほか、コンセントとプラグのすき間に大量のホコリが蓄積されて、それが湿気を帯びた際に漏電・発火すること(トラッキング現象)や、ネズミなどの害獣が電気コードをかじって漏電するケースもあります。

漏電の危険性

では、漏電が発生するとどんな危険性があるのでしょう。

まず一つは、「感電」の恐れです。漏電している家電製品に触れると、感電してしまう可能性があります。感電は軽度であればカラダにピリッと電流を感じる程度で済みますが、最悪の場合死に至ることもあるので非常に危険です。とくに水は電気を通しやすいので、塗れた手で電源プラグを触らないように気をつけましょう。

そしてもう一つが、「火災」の危険性です。漏電している場所が高温になって、ホコリや木くずなどに引火すると火災を引き起こす可能性があります。日常的に起こっている火災の中でも、漏電が原因となっているものは少なくありません。さらに漏電による火災は発見が遅れる場合が多く、消火活動が遅れることで大火災に繋がるケースも多いです。ですから、日頃から漏電対策をしっかりと行うことが大切なのです。

漏電の見分け方

そうなると気になるのが、「漏電しているかどうかは、どうやって見極めるのか」ということですよね。ここで登場するのが、今回M様からすぐに落ちてしまうとご連絡頂いた「漏電ブレーカー」です。

一般的な住宅には、3種類のブレーカーが付いています。使用電力が契約している電力量を超えたときに作動する「アンペアブレーカー」、部屋ごとの回路に分けて作業する「安全ブレーカー」、そして漏電したときに作動する「漏電ブレーカー」です。

どこかで漏電が発生した場合、漏電ブレーカーが落ちて電気の流れを止めます。これにより、感電や火災の発生を防止しているのです。漏電ブレーカーが落ちた際は、どこかで漏電が発生している可能性が高いので、どこで漏電が発生しているのかを探し出して対処する必要があります

【漏電の発生源を確認する方法】

1.すべての安全ブレーカーのスイッチを切る

2.漏電ブレーカーのスイッチを上げる

3.安全ブレーカーのスイッチを一つずつ上げていく

※漏電ブレーカーが落ちたら、その部屋に漏電の発生源があります

4.発生源がわかったらその部屋の安全ブレーカーは切っておく

5.漏電ブレーカーを上げて、対象以外の安全ブレーカーをすべて上げる

漏電ブレーカーが作動した部屋に、漏電の原因箇所があると考えられます。このような場合、むやみに触ると感電する恐れもあるので、その場所の電気製品には触れないようにして電気工事業者などに相談しましょう。

M様のご自宅に伺ってこの方法で漏電箇所を調べたところ、漏電の発生源はキッチンだと判明。その後、さらに詳しく調査を行い、IHクッキングヒーターの劣化による漏電だったということがわかりました

当社が設置したエコキュートが原因でないことがわかり、まずは一安心です。

エコキュートの漏電対策

ここで最後に、エコキュート自体の漏電対策についてもお話ししておきたいと思います。

電気が流れやすい「お湯」を扱うエコキュートは、何重にも漏電対策がされています。一般的な繋ぎ方としては、各家庭のメインブレカーの下にエコキュート専用の子ブレーカを設置。ここからエコキュートの電源をとります。

分電盤が埋まっている場合は、別途子ブレーカーを設置するケースもあります。もしもエコキュートで漏電が起こった場合、この子ブレーカーが落ちるのですぐにわかります

さらに、エコキュートは本体にも「漏電遮断機」が付いています。これにより、漏電時には自動的に電力をストップさせます

また、エコキュートの設置時には必ずアース工事を行って漏電対策をしています

アース工事とは?

アース線

アース工事とは、アース線と呼ばれる金属線で、家電と地面を繋げる工事を指します。これは感電防止の安全装置の一種で、万が一漏電が起こった場合に漏れた電流を地面に逃がす役割を果たします。そのため、コンセントが濡れやすい水回りの家電は、アースの取り付けが必須です。

このように、エコキュートを設置する際は何重にも漏電対策が行われます。今回M様邸の事例で、漏電の発生源がエコキュートである可能性は低いと考えていたのもこのためです。

エコキュートが漏電している場合は、本体の漏電遮断機によってエコキュート自体が運転をストップするか、専用の子ブレーカーが落ちます。その手前のブレーカーが落ちる場合は、エコキュートとブレーカーの間に何か障害が発生している可能性が高いです。さらにその上のメインブレーカーが落ちた場合には、エコキュート以外の漏電や過電流(使いすぎなど)が考えられます。漏電ブレーカーが落ちる場合は、どこのブレーカーが落ちているかをよく確認のうえ、電気工事業者などに相談しましょう。

今回M様邸で漏電を引き起こしていたIHクッキングヒーターは、20年程使用されていたものだそう。漏電ブレーカーがきちんと作動していたことで大きな事故に至らず本当に良かったですが、やはり経年劣化する家電は「定期的な点検」と「買い替え」が大切だと感じた一幕でした。

エコキュートをはじめ、多くの白物家電は「10年」が寿命の目安です。ご自宅に10年以上長く使っている家電がある場合は、この機会にぜひ製品の状態をチェックして、買い替え時期を検討してみましょう。

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