災害時に活躍するエコキュートの働きを徹底解説!地震や停電・断水に備えよう!
エコキュートは災害時にも活用できると聞いて、興味を持った方は多いでしょう。
確かに、電気給湯器のエコキュートは、電気がなければ動きません。
しかし、実は使い方さえ心得ておけば、災害時でも貯湯タンク内の水またはお湯を使うことが可能です。
私たちに必要不可欠なお湯を日々提供してくれるエコキュートは、万が一台風や地震に見舞われ、停電や断水が起きたとき、どのように活用できるのでしょうか。
今回は、災害時のエコキュート活用方法や注意点、災害に備えてしておくべきことなどを詳しく見てみましょう。
災害時にもエコキュートは使える?パターン別にチェック!
停電時にお湯を沸かすことは可能?
停電時にお湯を沸かすことはできません。
バッテリー内蔵ではないため、家庭用蓄電池がない場合、お湯の沸き上げやお湯張りは電気が復旧してからになるでしょう。
しかし機種によっては、停電前に沸かしておいたお湯をシャワーや食器洗いに使用することが可能です。
エコキュートの貯湯タンクは魔法瓶によく似た構造をしているため、お湯を沸かしてからしばらくの間は、温かいお湯を使うことが可能となっています。
ただし停電時は湯温調節ができないため、蛇口をひねるといきなり高温のお湯が出てくる場合もあります。
貯湯タンク内のお湯を使いたい時は必ず事前に湯温をチェックし、もし熱ければ浴槽に一度貯め、ある程度冷ましてから使うなどの工夫が必要です。
なお、停電時に対応していない機種だと「お湯も水も出ない」、「断水していなければ水だけは出る」のいずれかになります。
また、停電時にお湯を使える機種でも、湯温調節の弁が電動式だと、上手くお湯や水が出ないことがあります。
エコキュートが停電時でも確実に使用できるかは、事前にカタログやホームページでチェックしましょう。
断水してもお湯は使える?使えるとしたら何日分?
断水時は停電時と違い、貯湯タンクへの水の供給が絶たれてしまうため、シャワーや蛇口からお湯を出すことはできません。
しかし貯湯タンク内に水が残っていた場合は、生活用水として使用することが可能です。
実際に断水を経験された方によると、断水時最も困ったこととして挙げられるのは
「トイレを流せない!」「顔が洗えない!」「コップやお皿が洗えない!」など、
そのほとんどが普段は当たり前のようにできていることです。
このように「当たり前なこと」に水が使えない状態が何日も続いてしまうと、
衛生面だけではなく精神面にも大きなダメージを受けてしまいますよね。
その点エコキュートを設置していれば、貯湯タンク内に水がしっかり貯まっている場合、数日間は最低限の生活用水をまかなえると言われています。
家族の人数によっても異なりますが、例えば4人家族で容量460Lの貯湯タンクを設置していた場合は、約3~4日分の生活用水を日ごろから備蓄していることになります。
エコキュートを選ぶ際は性能や見た目だけではなく、「家族の人数に対し十分な容量を備えているか否か」という点を重視することも大切だと言えるでしょう。
断水時にエコキュートから水を取り出す方法については、後ほど詳しく説明していきます。
停電時/断水時に貯湯タンク内のお湯を飲むことは可能?
正直に申し上げますと、平常時、非常時に限らず貯湯タンク内のお湯を飲むことはあまりお勧めできません。
通常、水道水にはカルキなどの殺菌成分が含まれていますが、エコキュートで湯沸かしを行うことで、この成分が薄れてしまうと言われています。
そうなった場合、国が指定する安全基準に満たない水になってしまうというのが、
貯湯タンク内のお湯を飲むことをお勧めしない理由の一つです。
また、基本的に貯湯タンク内は真空になっており滅菌状態が保たれていますが、
長期間使用している場合、微かなゴミや水垢がタンク内に沈殿している可能性もあります。
これらを踏まえ、安全面と衛生面の両方を考慮した上で、多くのメーカーは「貯湯タンク内のお湯は飲料用に適さない」との見解を出しています。
とはいえ、「赤ちゃんにあげるミルク用のお湯が欲しい!」「真夏に断水したせいで脱水症状を起こしそう…」など、停電中や断水中に一刻を争う事態に見舞われる可能性もゼロではありません。
そのような状況下でどうしても貯湯タンク内のお湯を飲料用にしたい場合は、しっかり煮沸処理を施してから飲まれることをお勧めいたします。
「我が家はIHクッキングヒーターを使っているから、停電したら煮沸もできない…」という場合は、平常時からカセットコンロやガスボンベを備蓄しておくと安心です。
エコキュートは災害時でも使えるのが大きなメリット
災害時には、電気・水道・ガスといった「ライフライン」が停止してしまうケースがあります。
とくに水は生活に必須のため、断水になると頭を抱えてしまうでしょう。
しかし、エコキュートはもれなく貯湯式で、貯湯タンクに水やお湯を貯めておけます。
機種にもよりますが、災害時に使えるというのは大きなメリットです。
また、オール電化にすると、災害時に弱いというイメージを抱いている方も多いでしょう。
しかし、ライフラインの中で、電気と水道の復旧は早いことをご存知でしょうか。
東日本大震災でも、電気と水道は、一週間で半分以上の世帯が復旧しています。
早い地域では、当日~3日程度でも復旧しているほどです。
それとは反対に、都市ガスやLPガスの復旧は1ヶ月以上かかることもあり、その間はもちろんお湯を沸かせません。
災害時は、ただでさえ不安になりがちです。
普段通り温かい湯船に浸かれなかったり、シャワーを浴びられなかったりするだけで、大きなストレスになるでしょう。
エコキュートは、電気と水道が復旧すれば普段通り使えるため、災害時に心の助けになるはずです。
水の取り出し方は?災害時にエコキュートを使用する手順
蛇口やシャワーから水やお湯が出ない場合は、非常用取水栓から直接取り出す必要があります。
取り出し方の大まかな流れは下記です。
手順 | 内容 | 注意点・補足 |
---|---|---|
1 | 漏電遮断機のレバーを下げ、電気が供給されないようにする | 作業中に電気が復旧、あるいは漏電のおそれがあります。停電時であっても、念のため行ってください。 |
2 | 脚部カバーを取り外す | ネジを外すため、ドライバーが必要になることがあります。 |
3 | エコキュート下部から、給水配管用の止水栓を閉める | 給水を停止することで、水量の減少や汚れの混入を防ぎます。 |
4 | 逃し弁操作カバーを開け、内部の逃し弁レバーを手前に引く | 逃し弁レバーを操作することで、非常用取水栓から水・お湯を取り出せるようになります。 |
5 | バケツやホースを非常用取水栓に設置 | ホースやバケツは、用途に応じて清潔なものをご用意ください。 |
6 | 非常用取水栓をひねって、水やお湯を出す | 貯湯タンクからは熱湯が出る可能性があるため、直接触らないように注意してください。 また、出し始めは汚れが出ることがあります。 |
7 | 必要分の水やお湯を取り出したら、非常用取水栓や逃し弁レバーを元に戻す | 以降、水道が復旧するまでは、洗面所や台所の蛇口は開けないようにしてください。 |
当コラムでは大まかな流れを説明していますが、各メーカー・機種によって非常用取水栓の位置や手順が微妙に異なる場合があります。
そのため断水時に備えて事前に説明書やHPで確認し、余裕があれば一度平常時に実践してみることをお勧めいたします。
実際に断水した時でも冷静に対応できるよう、日ごろから水の取り出し方を心得ておくことが大切です。
停電から復帰したときにするべきことは?
停電が起こったとしても、短時間であれば特別な操作や対処は必要ありません。
復旧と同時に、エコキュートもこれまで通り使えるようになるでしょう。
リモコンにリチウム電池が内蔵されているタイプならば、自身が設定した内容や時刻もそのままバックアップされています。
しかし、リモコンを確認して時計の表示がおかしくなっている場合は、時刻設定の調整をおこないましょう。
停電時間の長さや、使用機種によっては、時刻設定が初期化されていることがあります。
また、安全装置が働いて、リモコンにエラー表示が出ることもあります。
その際は、取扱説明書やメーカーホームページを確認しながら、エラーからの復旧操作をおこなってください。
なお、災害の種類によっては、停電復帰後でもエコキュートを使わないでください。
例えば、水害でエコキュートに水がかかってしまったケースです。
万が一水害によって冠水・浸水、破損などをしているのであれば、そのまま使い続けるのは危険です。
エコキュート内部に泥や塩分が残っていると、漏電や発火などのリスクが高まるので注意してください。
見た目には乾燥して見えても、内部までは乾燥していないこともあります。
水害に遭ったときには、停電復帰後すぐにエコキュートを稼働させるのではなく、必ず点検・メンテナンスを受けるようにしましょう。
「断水が解除された!」その後の手順&注意点
断水が解除された際も、すぐにエコキュートを稼働してしまうのは危険です。
通常、水道管内は水と水圧で満たされています。
しかし断水が数日続くと水道管内に空気が入り込み、ゴミや汚れの混入、または錆の発生を引き起こす場合があります。
そのため、断水が解除されたら初めに蛇口(屋外に散水栓などがあればその蛇口を、なければ洗面所やキッチンの蛇口)を開き、汚れた水が出てくるようであれば、綺麗な水に変わるまでしばらく排出しておきましょう。
エコキュート本体の水栓の開閉よりも、まずはこの「洗管作業」を先に終わらせることが大切です。
もし断水解除からすぐにエコキュートを使用してしまうと、ゴミや錆びを含んだ水が機器内部に回り、故障を引き起こす原因となる場合があります。
「水道が使えるようになったと思ったら、今度はエコキュートが故障した…」なんてことにならないためにも、断水解除後はまず蛇口から水を出すことを心掛けておきましょう。
なお、この洗管作業では、水の色で配管内のトラブルを察知できます。
例えば、蛇口をひねって白い濁り水が出たのであれば、水道水の中に空気が混ざっていることの表れです。
いつもと違う色のため気にしてしまう方もいますが、原因は空気ですから、気にする必要はありません。
誤って白い濁り水を入浴や料理に使ってしまっても、健康に影響はないでしょう。
また、しばらく白い濁り水が続いたとしても、しばらくすると透明な水に戻っていくので安心してください。
一方で、要注意なのが赤い濁り水です。
赤く濁った水が出てきた場合は、配管の錆が原因だと考えられます。
少量誤って飲んでしまっても健康に影響はないものの、できるだけ使用は控えた方が良いでしょう。
赤い濁り水もしばらく水を出し続ければ、透明な水に変わります。
しかし、長い時間水を出していても、赤く濁ったままの場合は、水道局または水道修理業者に連絡してください。
災害に備えてしておくべきこと4つ
- 基礎工事をしっかり行ってくれる業者を選んで地震対策
- 災害が予想できるときにはたっぷり沸き増しをする
- エコキュート貯湯タンクの清掃も大切
- 災害時の破損に備えて保険加入も検討
基礎工事をしっかり行ってくれる業者を選んで地震対策
当記事を読み進めていく中で、「エコキュートがあれば停電や断水が起きても安心!」と思われた方も多いかもしれません。
しかし水が使える、使えない以前に、「地震によってエコキュートが倒れてしまった」というケースが近年の災害時ではいくつか報告されています。
そして、その際に倒れたエコキュートのほとんどは、設置時に簡易的な基礎工事しか
施されていなかったということが後から分かっています。
いくら格安を謳っていたとしても、ずさんな工事を行う施工店を選ぶことは避けたいですよね。
災害時に追い打ちをかけるような思わぬトラブルに見舞われないためにも、工事料金や工事内容などは事前にしっかり施工店に確認しておきましょう。
疑問点を全てクリアにし、「ここなら安心して任せられる!」と思えるような施工店を見つけることが大切です。
災害が予想できるときにはたっぷり沸き増しをする
気象庁の予報から、台風や集中豪雨、大雪などの災害情報をチェックできます。
「もしかしたら今日明日、停電や断水があるかもしれない……」と予想できるときは、昼間でも沸き増しをしておくと良いでしょう。
昼間の沸き上げは節約につながらないものの、実際に停電や断水が起きた際、貯湯タンク内のお湯は災害時の備えになるはずです。
エコキュートの機種によっては、あらかじめ選択した警報・注意報が発令されると、自動で沸き上げや沸き増しをしてくれます。
例えば、パナソニックの一部シリーズでは、エコキュート専用アプリから「エマージェンシー沸き上げ」機能を使えます。
自宅を離れているときや、突然の状況に戸惑っているときにも自動で沸き上げをおこない、水やお湯を確保してくれるので安心です。
警報・注意報が解除されると、沸き上げが自動でストップになるため、便利に活用できるでしょう。
災害時でも、ライフラインがつながり、安全も確保できるようであれば、満タンになるように沸き増しをおこなってください。
そうすることで、再び停電や断水が起こったとしても、貯湯タンク内のお湯を生活用水として使用できるでしょう。
エコキュート貯湯タンクの清掃も大切
災害時に貯湯タンク内の水を安心して使用するためにも、普段から清潔な状態を保つように心掛けてください。
エコキュートの貯湯タンクは、基本的にキレイな水道水が溜められています。
しかし水道水には、僅かながら不純物が含まれているため、どうしても沈殿物として蓄積されていくものです。
そういった沈殿物を取り除くために、水抜きのメンテナンスをおこなってください。
水抜きは最低でも、半年に1回は作業するように心掛けると良いでしょう。
地域によっては、台風や豪雨などが来やすい時期があります。
災害の時期を把握しているのであれば、その時期が来る少し前に行うのもお勧めです。
エコキュートの水抜きは、メーカーや機種によって微妙に手順が異なるものの、難しい作業ではありません。
動画で手順を解説しているメーカーもあります。
メーカーのホームページや、取扱説明書をチェックして、ぜひチャレンジしてみてください。
ただ、何年も使っているのに水抜きをしたことがない……といった場合は要注意です。
貯湯タンクに様々な汚れが溜まっていて、通常の水抜きでは完全に取り除けない状態になっているかもしれません。
その際には、専門業者のメンテナンスを受けて、一度汚れのリセットをお勧めします。
水抜きに関してはエコキュートの「水抜き」しないと…?手順や重要性を徹底解説も併せてチェックしてみてください。
災害時の破損に備えて保険加入も検討
新築物件に移り住む際、エコキュートを導入するのであれば、保険への加入も検討してみましょう。
エコキュートは、火災保険の保証対象に含まれることがあるためです。
地震でエコキュートが倒れた、水害でエコキュートが水を被ったなど、災害によってエコキュートが破損することはあり得ます。
修理が不可能であれば、エコキュートを再度購入し直すことになってしまうかもしれません。
しかし、火災保険の補償対象に含まれていれば、その要因と被害の内容に応じて、保証を受けられる可能性があります。ただ、保証内容については保険会社によって様々です。
また、保険適用にあたって故障した部分の提示や、実際の写真の撮影を求められるケースが多々あります。
そのため、災害で壊れたからといってすぐにエコキュートを交換してしまうと、災害による破損を証明できなくなります。
交換工事会社も交換後は原因特定が難しいため証明ができません。証明できないと保険適用NGになるケースもあるので、注意してください。
・交換後に申告すると保険適応されない場合があるので注意
自然災害が多い日本だからこそ備えが必要
世界的に見ても、日本は自然災害の多い国です。
2011年3月に起こった東日本大震災では、断水戸数が230万戸にものぼったと言われます。
日本に住んでいる以上、自然災害によってライフラインが確保できなくなる……といったことは、他人ごとではありません。
エコキュートはただ毎月の光熱費が安くなるだけでなく、万が一の際には、備えにもなります。
ペットボトルの水は数リットルしかなく、災害時に生活用水として使ってしまうのはもったいなく感じられます。
エコキュートなら、何百リットルという量の水やお湯を生活用水として確保できるため、災害時には大きな安心につながるでしょう。
エコキュートに交換するだけで災害時の対策になるため、万が一の備えをしておきたい方にお勧めです。
まとめ
災害時のエコキュート活用方法や注意点、災害に備えてしておくべきことなどを詳しく見てみましたが、いかがだったでしょうか。
災害時にエコキュートを活用するためには、「使用可能な用途」や「水を取り出すときの手順」など、覚えることが沢山あるように感じたかもしれません。
しかし、それらをきちんと把握しておけば、エコキュートは有事の際の心強いライフラインとなってくれるでしょう。
自然災害の多い日本だからこそ、エコキュートのような貯湯式の電気給湯器がお勧めです。
設置者の方の疑問や不安を最大限解消できるよう、急湯デポは引き続きエコキュートへの知見を深めてまいりたいと思います。
急湯デポは、エコキュートの交換を専門としています。
交換や買い替えの際はもちろん、「エコキュートについてもっと詳しく知りたい!」という場合も、どうぞお気軽に急湯デポまでお問い合わせください。