なぜ給湯温度は50℃が最適なの?おすすめの温度設定から節約術まで解説!

エコキュートの給湯温度は、光熱費にも影響するため、最適な設定を知りたい方も多いのではないでしょうか各業者によると、エコキュートの給湯温度は50℃がお勧めとされています。
※使用環境や季節に応じて調整するようにしてください。
この記事では、なぜ給湯温度を50℃に設定するのが良いと言われているのか、その理由を分かりやすく解説していきます。さらに、エコキュートをより効率的に運用するための節約術もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

エコキュートの温度設定は4つ

エコキュートでは、設定によりお湯の温度を調整することができます。
給湯や沸き上げは、各所に取り付けられた温度センサー(サーミスタ)によって設定温度通りに行われます。

給湯温度

給湯温度とは、エコキュートからシャワーや蛇口へ運ばれるときの温度です。メーカーや機種によって設定範囲は異なりますが、例えば、三菱エコキュートの場合、水温は35~48℃、お湯は50℃、60℃などに設定できます。
50℃や60℃という設定温度だと、熱すぎてしまうのではないかと心配になるかもしれません。しかし、実際にシャワーや蛇口から出るお湯の温度は、設定温度よりも低くなるように設計されています。

配管に取り付けられたミキシングバルブ(ミキシング弁)を通る際、そして後述するサーモスタット混合水栓によって、湯温を調整されるためです。
※ただし、万が一、給湯温度が高くなりすぎる場合がありますので、温度設定には十分ご注意ください。

沸き上げ温度

沸き上げ温度とは、エコキュートがお湯を沸き上げるときの温度です。
沸き上げ温度は、メーカーや機種、設定によって異なりますが、例えば三菱エコキュートの場合、約65~90℃の高温で沸き上げます。
沸き上げたお湯は貯湯タンク内に保管され、保温性能の高い貯湯タンクであるほど、放熱せず湯温が長持ちします。
貯湯タンク内のお湯は高温のため、非常用水として直接取り出す際には、火傷に十分注意してください。

風呂温度

風呂温度とは、お湯張り時に風呂配管から出るお湯の温度です。
風呂温度も、メーカーや機種、設定によって異なりますが、例えば三菱エコキュートであれば、35~48℃の間で1度刻みで設定できます。
エコキュートから伸びる配管は、シャワー側と浴槽側で分かれ、別々のミキシングバルブで調整されます。
上述した給湯温度と風呂温度の設定は別々のため、給湯温度に影響を与えることはありません。

サーモスタット混合水栓温度

サーモスタット混合水栓温度は、シャワーや蛇口のハンドルで調整する温度のことです。
給湯温度を60℃に設定しても、サーモスタット混合水栓温度を40℃に設定していれば、水道水と混合されて40℃ほどのお湯が出てきます。
サーモスタット混合水栓の内部には、メーカーにもよりますが、湯温の変化に応じて伸び縮みする形状記憶ばね(SMAコイル)が組み込まれており、
この形状記憶ばねの伸び縮みによって、お湯と水の量を調節する仕組みです。

参考 TOTO株式会社「水栓の予備知識」

給湯温度は50℃が最適と言われている理由

実際の給湯温度は50℃ではない

給湯温度を50℃にしても、実際にシャワーや蛇口から給湯される温度は50℃ではありません。
サーモスタット混合水栓によって調節され、50℃よりも低い湯温で給湯されます。
また、配管を通っている間にお湯が冷めてしまう、いわゆる「放熱」の影響で、季節や配管の長さによっては、設定温度より3~5℃ほど低くなることもあります。
そのため、お湯の温度が低く感じてしまうことを避けるためにも、給湯温度は50℃に設定しておくのがおすすめです。
※万が一、給湯温度が高くなりすぎる場合がありますので、温度設定には十分ご注意ください。

電気代を抑えやすい

給湯温度を50℃に設定することで、季節によっては電気代の節約に繋がる場合があります。
これは、給湯温度を50℃にすることで、お湯を無駄に使う量を減らせるためです。
給湯温度40℃のようにぬるめに設定すると、配管がなかなか温まりません。
水やぬるいお湯が出る時間が長くなり、その分お湯を捨てる量も増えてしまいます。

例えば、東京水道局によると、3分あたりのシャワーには、約36Lの水を使用しています。
家族4人の入浴時に、それぞれ30秒ほど水やお湯を捨てると考えると、約24Lもの水やお湯を捨てる計算です(6L×4人)。
水道代はもちろん、電気代をかけて沸き上げたお湯も多く捨てることになるため、給湯温度は50℃がお勧めです。

参考 東京都水道局「もっと知りたい「水道」のこと」

使う人に合わせて温度調節しやすい

給湯温度を50℃に設定しておくと、家族それぞれが好みの湯温に調整しやすいというメリットもあります。
シャワーや蛇口から出るお湯は、温度を下げて調整するしかありません。
そのため、給湯温度40℃のように低めに設定されていると、他にシャワーを浴びる方が「もう少し熱めが好み」と感じても、対応できないことになります。
ある程度湯温が高い方が、手元のサーモスタット混合水栓で調整し、家族各々の好みに合わせられます。

湯温が安定しやすい

湯温が安定しやすい点も、見逃せないメリットです。
サーモスタット混合水栓では、お湯と水を混合しますが、給湯温度とサーモスタット混合水栓の温度が近いと、混合する水が減ってしまいます。
水を混ぜて調整できない状態になってしまうため、湯温が安定しないまま出てきます。
例えば、給湯温度40℃、サーモスタット混合水栓38℃に設定したとします。
この場合、お湯が配管で放熱して36℃になってしまったり、しばらくすると配管が温まって38℃ほどになったりします。

参考 LIXIL「5621-1-20150227」

シャワーの水圧が高まりやすい

給湯温度が50℃に設定されていれば、シャワーの水圧も高まりやすいです。
エコキュートは貯湯式であるため、高圧タイプでない場合にはシャワーの水圧が弱く感じられることがあります。
しかし、給湯温度が50℃に設定されていれば、水道水が適度に混合される状態を保てます。
水道水の圧力が加わってシャワーの水圧が高まるため、水圧に不満を感じることを減らせるメリットがあります。

冬場は給湯温度を60℃に変えるのがお勧め

冬場など気温が低い時期には、給湯温度を60℃に設定してもいいかもしれません。
冬場は配管が冷えており、放熱速度が早いためです。
給湯温度を50℃に設定していても、給湯時にはぬるくなってしまうことがあります。

冬場は、沸き上げ温度も高く設定するか、設定を変更できない場合は沸き上げ量を「多め」にしておくのが良いでしょう
冬場は、サーモスタット混合水栓側の温度設定を、高めに設定することがあります。
数度高くするだけで、混合するお湯の割合が数リットル変わるため、お湯切れも早くなりがちです。
沸き上げ温度を高くし、沸き上げ量を多めにすることで、お湯切れを防ぎやすくなります。
沸き上げる回数を減らせて電気代の節約になる他、沸き上げるお湯の量が多ければ、貯湯タンク内で放熱しづらくなるメリットもあります。

給湯温度を低く設定するデメリット

  • 電気代がかえって高くなる
  • サーモスタット混合水栓の故障を招く

電気代がかえって高くなる

給湯温度を必要以上に低く設定してしまうと、かえって電気代が高くなってしまうことがあります。
上述の通り、給湯温度が低いと、お湯を捨てる量が増えてしまいます。
また、ぬるさや物足りなさを感じることもデメリットといえると思います。
シャワーの温度に不満があると、シャワーの時間が長引きがちです。
特に冬場は体を温めづらく、シャワーの時間はより長引くと考えられます。
お湯を使い過ぎて沸き増しが必要になる、風呂場の電気を使う時間が長引いてしまう等、電気代が高くなるリスクもあると覚えておきましょう。

雑菌が繁殖しやすい環境になる

雑菌が繁殖しやすい環境になってしまうことも、給湯温度を下げることのデメリットです。
浴室で繁殖することがあるレジオネラ属菌を例に挙げると、20~45℃で最も繁殖しやすいと言われています。
45℃を超える高温でレジオネラ属菌の動きは抑制され、60℃で殺菌が可能です。
特に残り湯を再利用するような環境だと、レジオネラ属菌のような雑菌が繁殖しやすいといわれています。
給湯温度はもちろん、風呂温度についても、雑菌が繁殖しにくい温度に設定するのがお勧めです。

参考 国立感染症研究所「レジオネラ症とは」

サーモスタット混合水栓の故障を招く

給湯温度を低く設定してしまうと、サーモスタット混合水栓の故障を招きます。
給湯温度を40℃に設定し、サーモスタット混合水栓を38℃に設定した場合を例に考えてみましょう。
その場合、サーモスタット混合水栓の温度センサーが数度の誤差を検知して微調整を繰り返すことになるため、負荷がかかってしまうのです。
メーカー側が、適温で使うためには給湯温度を上げるよう注意書きをしていることもあるため、故障を招かないためにも、50~60℃の間での設定がお勧めです。

エコキュートでできる節約術

モードを「おまかせ」に設定する

エコキュートの運転モードは、基本的に「おまかせ」に設定するのがお勧めです。
メーカーによって、「おまかせ運転」や「おまかせ自動運転」など、名称は多少異なりますが機能は同じです。
おまかせは自動運転モードのことで、沸き上げ温度や沸き上げ湯量等を同時に設定できます。
搭載されているAIが、1週間ほどの使用湯量を学習し、節約に向いた最適な湯量を沸き上げます。
おまかせで湯量が足りない場合は「多め」や、逆に湯量が多い場合は、「少なめ」や「おまかせ節約」に設定すると良いでしょう。

沸き上げを深夜におこなう

基本的にエコキュートは、沸き上げを深夜におこなうことで節約ができます。
深夜は電気を使用する人が少なく、電気代が安くなりやすい時間帯です。
一方、電気を使用する人が多い時間はピークタイムと呼ばれ、10~17時等は高くなります。
そのため、契約しているプランにもよりますが、電気代が安い深夜にまとめて沸き上げることで、給湯にかかる電気代をお得にできます。

旅行や出張等の際には沸き上げ休止設定を

旅行や出張等で家を空ける方は、沸き上げ休止設定をしておきましょう。
沸き上げ休止設定をしておけば、不在中に無駄な沸き上げが行われないため、電気代の節約になります。
また、メーカーや機種等によりますが、沸き上げ再開日時も同時に設定できることがあります。
旅行や出張で帰ってきた日に沸き上げを再開させられるため、疲れて帰ってきた日にもすぐシャワーを浴びられるメリットがあります。

追い焚きではなく足し湯を使う

エコキュートで節約したい場合は、追い焚きではなく足し湯を使うのがお勧めです。
エコキュートの追い焚き機能は、浴槽内のお湯をいったん配管に戻し、熱交換機を使って温め直すという仕組みです。
貯湯タンク内のお湯は減りませんが、浴槽内の大量のお湯を温め直すために、貯湯タンク内の湯温が下がってしまいます。
貯湯タンク内の湯温が大きく下がると、沸き増しが必要になることもあるため、高い温度のお湯を必要量足すだけで済む足し湯を使ってみてください。

風呂自動機能を活用する

エコキュートの、風呂自動機能も上手に活用してみましょう。
風呂自動機能とは、その名の通り、お湯張りから保温までを自動で行ってくれる便利な機能です。
風呂自動がオンになっていれば、入浴中や、次の人が入浴するまでの間、快適な温度に保ってくれます。
ただし、入浴しないときにまで保温をおこなう必要はありません。
風呂自動機能をオフにするか、メーカーや機種によっては「エコ風呂保温」のような節約用のモードがあるため、そちらに切り替えながら使ってみてください。

お湯を使わない日は昼間休止設定

お湯の状態を確認しながら、昼間休止設定も使用してみましょう。
昼間休止設定では、その日の日中に、沸き上げや沸き増しをおこなわないよう設定できます。
「シャワーを既に浴びたし、家族も出掛けているのでこれ以上お湯は使わない」というようなとき、電気代の節約になります。
次の日の深夜にはまた沸き上げが再開される点で、沸き上げ休止設定と違いがあります。

お湯の使用歴で節約意識を強化

メーカーや機種、リモコン等にもよりますが、お湯の使用履歴を確認できるエコキュートもあります。
例えば、ダイキンエコキュートには、「使用履歴(湯量実績)」の機能を備えた機種があります。
過去7日間の使用湯量をグラフで確認でき、1ヶ月ごとの平均使用湯量等も見られます。
過去には、東芝エコキュートの一部機種に、ゲーム感覚でお湯の節約ができる「エコチャレンジ」機能が搭載されていました。
使用履歴を時々見るようにすると、お湯を使い過ぎた日が分かり、お湯の使い方に改善点も見えてくるはずです。
節約意識を強化する目的に使えるため、上手く活用してみましょう。

太陽光発電システムを取り入れる

太陽光発電システムを利用すれば、より節電が可能です。
電気代が安い夜間に沸き上げを行うとはいえ、電気代は必ずかかってしまいます。
太陽光発電システムを取り入れれば、夜間に沸き上げる量を抑え、日中に発電した電気を利用してお湯を沸き上げられます。
天候にも左右されますが、より節約したい方にはお勧めです。

参考 エコキュートを太陽光発電と連携して電気代を節約!メリットとデメリット、導入方法まで解説

新しいエコキュートに買い替えるのも一つの手

新しいエコキュートに買い替えるのも、選択肢の一つです。
エコキュートの寿命は約10年と言われています。そのため、設置から10年近く経過している場合は、そろそろ不具合が出てくる可能性も考えられます。
例えば、沸き上げの効率が落ちて電気代が余計にかかったり、故障して修理費が高く付いてしまったりということがあります。
最新のエコキュートは、省エネ技術が進化しており、従来の機種よりも効率的に沸き上げを行うことが可能です。年間給湯保温効率も向上しているため、電気代の節約に大きく貢献します。
気になる機種があるのであれば、ぜひ買い替えを検討してみましょう。

まとめ

この記事では、エコキュートの給湯温度を50℃に設定するメリットや、具体的な節約術をご紹介しました。
給湯温度は、お湯がシャワーや蛇口に運ばれるときの温度を指しています。
節約効果が高く、サーモスタット混合水栓への負担も軽減できるなど、多くのメリットがあります。冬場を除き、給湯温度は50℃に設定するのがおすすめと言われています。
エコキュートの交換をご検討中なら、「急湯デポ」へご相談ください。
特急交換を得意としており、最短1日で交換できることもあります。
壊れたエコキュートを急いで交換したい方はもちろん、エコキュートを最新機種に買い替えたい方も、ぜひ急湯デポにご相談ください。

この記事を書いたのは

施工管理部 大阪施工センター長

仲井 康朗

施工管理者 仲井 康朗 です。

給湯器工事に携わって10年。日々エコキュートの施工管理を行う傍ら、お客様にエコキュートの情報をお伝えする当ブログの監修もしています。

保有資格

  • 北海道 / ⻘森県 / 第二種電気工事士免状 第 164447号
  • 液化ガス設備士免状 大阪府 142762005【LPG】
  • ガス簡易内管施工士資格証 15990024【都市ガス】
  • ガス可とう管接続工事監督者講習修了証 27130129【都市ガス】県 / ⼭形県 / 島根県 / 沖縄県

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