
エコキュートの湯切れはなぜ起こる?待ち時間や原因、対策は?
エコキュートを使う上で困るのが「湯切れ」です。
近年のエコキュートは、エコキュートが使用状況を学習し、適切な湯量を沸き上げてくれるため、湯切れしにくくなっています。
しかし、設定の変更や機器の故障等により、湯切れが発生することもあります。
本記事では、エコキュートの湯切れ原因と対策について詳しく解説します。
まず押さえたいエコキュートの内部構造
エコキュートは、ヒートポンプユニットと貯湯タンクユニットで構成される給湯器です。
ヒートポンプユニットは、ファンで取り込んだ空気の熱を利用し、お湯を沸かします。
沸き上げたお湯は、貯湯タンクユニットの中にある保温性の高い貯湯タンクに貯められます。
また、エコキュートは、電気料金が安い深夜帯に主に稼働します。
深夜にお湯を沸き上げることで、電気代を抑えながら、翌日の朝から夜にかけて使うお湯を、効率的に用意しています。
湯切れとはどのような状態?
湯切れとは、貯湯タンク内にお湯が全くない状態のことです。
機種や設定によって異なることもありますが、エコキュートは、約7~8時間かけて大量のお湯を沸き上げます。そして、そのお湯を貯湯タンクにたくわえて使います。
そのため、あらかじめ沸き上げていないと、お湯を使うことができません。
通常、お湯は高温のため、水道水と混ぜて適温に調節しながら、蛇口やシャワーに供給されます。
しかし湯切れの状態では、混ぜることのできるお湯がないため、水道水しか出なくなります。
湯切れを防ぐ仕組みはある?
メーカーや機種等にもよりますが、エコキュートには、湯切れを防ぐ仕組みが備わっています。
例えば、日立エコキュートの「湯切れ防止設定」や、三菱エコキュートの「湯切れ防止わき増し」があります。
お湯が少なくなったら自動的に沸き増しをしてくれるため、湯切れの心配はほとんどありません。
他にも、湯量を多めに設定したり、手動で沸き増しをしたりと、湯量を確保する方法は様々です。
しかし、これらの設定をオフにしたり、普段と異なるお湯の使い方をしたりすると、湯切れを起こすことがあります。
湯切れ後の待ち時間は?
エコキュートが一度湯切れを起こすと、お湯が再度沸き上げられるまでに待ち時間が発生します。
シャワー1回分に当たる100Lほどのお湯が使えるようになるには、1時間ほど待つ必要があります。
また、設定や機種、気候やメーカー等によって違いがありますが、満タンまで沸き上げるには、7~8時間程度必要です。
30分ほどでも少量のお湯は使えますが、待ち時間が発生することから、湯切れはできる限り起こしたくないものといえます。
エコキュートの湯切れが起きる原因

ここでは、エコキュートの湯切れが起こる原因について、詳しく見ていきます。
お湯の使用量が増えた
エコキュートが湯切れする原因として、まず普段よりお湯を使っていることが挙げられます。
例えば、来客や家族の帰省、冬場の水周り掃除などでお湯の使用量が増えると、湯切れが起こることがあります。
近年のエコキュートは、「おまかせ」などの運転モードに設定することで、最適な湯量を沸き上げてくれます。
しかし、エコキュートは、過去の使用量を基に湯量を計算しますが、常に満タンにはなるわけではありません。
そのため、いつもより使い過ぎてしまうと、湯切れを起こしてしまうことがあります。
昼間に沸き上げない設定にしている
エコキュートが湯切れを起こすようになった原因として、設定の変更が挙げられます。
上述の通り、エコキュートには、湯切れ防止の仕組みを備えた機種もあります。
しかし、昼間に沸き上げないよう設定していると、それらの機能が働いてくれません。
例えば、下記のような設定をしていると、昼間の沸き上げが難しくなります。
- コロナエコキュートの運転モード「使いきり」
- パナソニックエコキュートの運転モード「おまかせ節約」
- ダイキンエコキュート「沸き上げ一時休止」、「エコ停止/昼間休止」をオン
- 三菱エコキュート「わき上げ休止」をオン
- 日立エコキュート「湯切れ防止設定」をオフ
運転モードを、「使いきり」や「おまかせ節約」等、節約用の運転モードにしていると、昼間に沸き上げられないことがあります。
電気料金の割安な深夜を中心に沸き上げる設定になるからです。
運転モード以外にも、「沸き上げ一時休止」や「わき上げ休止」、「湯切れ防止設定」等、メーカーによっては昼間の沸き上げに関わる設定があります。
貯湯タンクの容量不足
頻繁に湯切れを起こすようであれば、貯湯タンクの容量が不足している可能性があります。
例えば、家族人数が3~5人であれば、貯湯タンクの容量の目安は370Lです。
それ以上の4~7人家族は460L、7~8人家族は550L~560Lが目安となります。
購入時よりも家族人数が増えたといった場合には、湯切れを起こしやすくなるでしょう。
また、入浴好きな方がいてお湯を多く使うような場合も、貯湯タンクの容量が合っていないと考えられます。
家族の人数にあわせた適切なサイズを詳しく知りたい方は、「【家族向け】エコキュートのサイズ・タンク容量の選び方、口コミを徹底解説!」も参考にしてみてください。
配管の水漏れ
配管から水漏れが起きていることも、湯切れの原因として挙げられます。
お湯が沸き上げられても、損傷した配管から水やお湯が漏れていれば、お湯はすぐになくなってしまいます。
配管が損傷する原因は、経年劣化や凍結等、さまざまです。
リモコンのエラーコードを確認し、配管の状態をチェックしましょう。水漏れがあれば、メーカーや施工業者に相談してください。
水漏れかどうか不安、水漏れしてるかも、という方は、「エコキュートの水漏れ原因7選!対処方法や原因、修理代について」も確認してみてください。
エコキュートの故障
水漏れなどの問題がない場合、エコキュート自体の故障が湯切れの原因になっている可能性があります。
故障につながる原因はさまざまで、下記のようなものが挙げられます。
- ヒートポンプユニットの周囲に物を置いている
- 入浴剤を不適切に使用している
- 長期間水抜きをしていない
- エコキュートの寿命
ヒートポンプユニットの前方には吹出口、後方には吸込口があります。
これらを塞ぐように物を置いていると、お湯を沸き上げ効率を下げてしまうだけでなく、故障につながることがあります。
また、メーカーや機種によって、使用できる入浴剤は異なるため、対応していない入浴剤を使っていると故障の原因になり得ます。
水抜きのような年に2~3回程度のメンテナンスを、設置以後全くしていないのであれば、湯垢や析出したミネラル成分等により、故障してしまうことが考えられます。
また、エコキュートの寿命は一般的に10年程度とされています。
長年使用している場合は、経年劣化による部品の摩耗や性能の低下が故障の原因となることがあります。
故障したエコキュートでは、正常な沸き上げができず、湯切れしやすくなることがあります。
このような場合は、修理や交換を検討してみてください。
上記は、エコキュートの故障につながる原因の一部です。
より詳しくは、「すぐ解決!エコキュートの故障症状・原因や寿命、修理や交換費用まで徹底解説」の記事をチェックしてみてください。
エコキュートの湯切れ対策一覧

エコキュートの湯切れを起こしたときの対策方法について確認しましょう。
湯切れを防ぐ設定に変更する
よく湯切れを起こすようであれば、湯切れを防ぐ設定がオフになっている可能性があります。
リモコンをチェックし、湯切れを防ぐように設定を変更してみましょう。
チェックしたいのは、下記の3つです。
- 運転モードが節約向きのモードになっていないか
- 昼間に沸き上げない設定になっていないか
- 沸き上げ能力が落ちる設定になっていないか
運転モードが節約向きのモードになっていると、昼間に沸き上げがおこなわれず、湯切れの原因になることがあります。
通常、あるいはたっぷり沸き上げる運転モードになっているか確認しましょう。
また、「湯切れ防止設定」や「湯切れ防止わき増し」等がオフになっているようであれば、オンに直します。
中には「昼間沸き上げ停止」や「沸き上げ一時休止」等、昼間の沸き上げを直接止める設定項目もあります。
リモコンや取扱説明書を見ながら、間違った設定に変えていないか見てみてください。
さらに、三菱エコキュートには、ピーク電力を抑えるための能力セーブ機能「夜間能力」を備えた機種があります。
夜間能力を「能力セーブ1」や「能力セーブ2」等に設定していると、消費電力を抑える代わりに、沸き上げる時間が延びてしまいます。
朝になっても沸き上げが間に合っておらず、湯切れしてしまうようであれば、「夜間能力」の設定も変えてみてください。
湯量設定を変える
来客や家族の帰省、水周りに掃除等、湯切れが予測できるようであれば、事前に沸き上げるお湯の量の設定を変えましょう。
運転モードを「おまかせ」から「たっぷり」、「おまかせ節約」から「多め」等に変えておくと、沸き上げる湯量の設定が多くなり、湯切れを防ぐことができます。
貯湯タンクの容量が合っておらず、普段から湯切れを起こす場合にも、運転モードの変更は有効です。
また、冬場のように、熱いお湯をたっぷり使う時期には、沸き上げる湯量と沸き上げる温度、両方を上げるのがお勧めです。
それでも不足してしまう場合は、手動で沸き増しをしてみてください。
お湯の使い方を変える
湯切れが起こりやすい場合は、お湯の使い方を見直してみましょう。
例えば、下記の事柄に気を付けてみてください。
- シャワーを出しっぱなしにしない
- 風呂湯量が多い場合は少なくする
- 高温のシャワーは控える
シャワーは1回で約100L、浴槽のお湯張りは約200~250L使用しています。
お湯張りはもったいないから、とシャワーで済ませる方もいます。しかしシャワーが長引けば、節約しているつもりで200~250L以上のお湯を使っているかもしれません。
特に冬場はお湯を使いがちです。体を温めるのであれば、シャワーよりもお湯張りがお勧めです。
また、三菱やパナソニック等、お湯張りに使う湯量を設定できるメーカーもあります。
リモコンから湯量を設定すると、無駄にお湯を使うことを防げます。
さらに、高温のシャワーも控えると良いでしょう。
給湯温度を高くすると、混ぜる水道水の割合が減るため、貯湯タンク内のお湯を多く使ってしまいます。
交換時に適切な貯湯タンクの容量を選ぶ
エコキュートが寿命を迎えている、あるいはエコキュートが故障しているという場合には、交換が必要です。
その際、適切な貯湯タンクの容量を選ぶようにしましょう。
貯湯タンクの容量は、前述した通り家族人数によって目安があります。
家族人数 | タンクの容量 |
---|---|
1~2人 | 180~200L |
2~4人 | 300L |
3~5人 | 370L |
4~7人 | 460L |
7~8人 | 5550L~560L |
貯湯タンク容量が上の機種を選ぶと、その分の購入費用がかかるため、現状の容量で良いと考える方もいるかもしれません。
しかし、頻繁な湯切れで電気料金が高い時間の沸き上げが増えると、電気代が余分にかかってしまいます。
お湯を多く使う場合はプラス1人と考え、家族人数に合わせたエコキュートを選んでみてください。
追い焚きを使わない
湯切れを防ぐためには、追い焚きを使わないことも検討してみてください。
追い焚きは、給湯タイプ・フルオートのエコキュートが備えていることのある機能です。
追い焚きは貯湯タンク内のお湯の熱を利用し、あたため直す仕組みになっています。
そのため、タンク内のお湯の温度が低下すると、十分にあたためられなくなります。
浴槽内のお湯を温め直すのであれば、追い焚きよりも足し湯が良いでしょう。
追い焚きを使用して浴槽のお湯を保温する自動保温は、切っておくのがおすすめです。
追い焚きについてより詳しくは、「【図解】エコキュートの追い焚きの仕組みとは?足し湯との違いや注意点も」の記事で解説しています。ぜひチェックしてください。
エコキュートを定期的にメンテナンスする
故障による湯切れを防ぐのであれば、エコキュートを定期的にメンテナンスするのがお勧めです。
2~3ヶ月に一度は、水抜きを始めとするメンテナンスをおこなうようにしましょう。
例えば、水抜きを全くおこなわなければ、湯垢やミネラル成分が固まった沈殿物、断水時に水道水に混ざった異物が、詰まりの原因になってしまうことがあります。
水抜きや浴槽フィルター、風呂配管等を定期的に掃除することで、エコキュートが正常に稼働する状態を長くキープできます。
エコキュートのメンテナンス方法については、各メーカーホームページか、「エコキュートを長持ちさせるメンテナンス・掃除方法を紹介!」の記事でも詳しく解説していますので、ぜひチェックしてください。
まとめ
この記事では、エコキュートが湯切れを起こす原因や、湯切れを起こしたときの対策まで、詳しく解説しました。
エコキュートには、湯切れを防ぐ機能が搭載されている機種も多々あります。
しかし、設定を誤ったものに変えてしまったり、故障したりといった理由で、湯切れを起こすことがあり得ます。
設定を見直したり、故障している場合は修理や交換等をおこなったりして、エコキュートの湯切れを防いでみてください。
急湯デポは、エコキュートからエコキュートへの交換を承っています。
エコキュートが突然湯切れするようになったり、正常に沸き上げられていなかったり、エコキュートの交換が必要な際には、ぜひ急湯デポにご相談ください。