エコキュートの年間給湯保温効率とは?メーカー別に数値を比較!
エコキュートの交換や購入の際には、「年間給湯保温効率」をチェックしましょう。 エコキュートを選ぶ際に重視する部分は個人によって様々ですが、省エネを重視するのであれば年間給湯保温効率も一つの基準となります。今回は、エコキュートの年間給湯保温効率とは何かを紹介し、各メーカーの具体的な数値を比較します。 省エネに優れたエコキュートを探している方は、ぜひチェックしてください。
エコキュートの年間給湯保温効率とは?
年間給湯保温効率とは、「そのエコキュートがどのくらいの電力をかけてお湯を沸かすか」を示す数値です。給湯にかかる電力が少なければ、当然ながら電気代は安くなります。
年単位で考えると、電気代に大きな差が生じるため、エコキュート選びでは重要なポイントになります。年間給湯保温効率は、ホームページやカタログには必ず記載されているため、確認しましょう。
年間給湯保温効率と年間給湯効率の違い
エコキュートの性能表示は、風呂保温機能の有無によって「年間給湯保温効率」か「年間給湯効率」に分かれます。
年間給湯保温効率は、風呂保温機能が付いているフルオートタイプのエコキュートが対象です。そして年間給湯効率は、風呂保温機能が付いていない給湯専用のエコキュートやセミオートのエコキュートが対象です。
搭載機能が違うために算出方法が異なりますが、どちらも「どれだけ省エネ性能が優れているか」を示す基準となっています。
算出方法は?
年間給湯保温効率は、1年間で使用したお湯の総熱量(給湯熱量)と、風呂保温をしたときの保温熱量を年間の消費電力量で割って100をかけたものです。下記の式で算出されています。
年間給湯保温効率の式
年間給湯保温効率=(年間の給湯熱量+風呂保温をしたときの保温熱量)÷年間消費電力量×100 |
一方、年間給湯効率は、1年間で使用したお湯の総熱量(給湯熱量)を年間の消費電力量で割り、100をかけたものです。具体的には、下記の式で算出されています。
年間給湯効率の式
年間給湯効率=年間の給湯熱量÷年間消費電力量×100 |
JISやJRA、APF等の表記の違いは?
メーカーホームページや、エコキュートのカタログ等を見ていると、JISやJRA、APFといった表記を目にします。それぞれの表記について、簡単にまとめると下記になります。
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表記 | 簡易説明 |
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JIS (年間給湯(保温)効率) | JISは日本産業規格のこと。2011年新たに制定された「JIS C 9220」の基準で、「風呂保温」の評価を含めて評価したもの。現在のエコキュートは、ほとんどこちらの表記。 1年間で使用する給湯と浴槽の保温に使用する熱量を、1年間で必要な消費電力で割った数値。 |
JRA (年間給湯効率) | JRAは(社)日本冷凍空調工業会規格の一つ。2011年より前に使用されていた基準で、1年間で使用する熱量を、1年間で必要な消費電力で割った数値。 風呂保温の評価が含まれていないため、JRAでは高い年間給湯効率が、JISでは低くなることがある。 (例:EBS-HP46QTA。年間給湯効率(JRA):3.1、年間給湯保温効率(JIS):2.8) |
APF (年間給湯効率) | APFは(社)日本冷凍空調工業会規格の一つ。2006年に改正された省エネ法により、COPに代わって取り入れられた基準。 1年間で発揮した能力を、1年間で必要な消費電力で割ったもの。 JISと比較する際には、APFの数値をマイナスする必要がある。 目安としては、追い焚きありならAPF-0.7、追い焚きなしならAPF-0.5。 |
COP/中間期COP | エネルギー消費効率。ホームページやカタログ等で、ヒートポンプユニットの項目に記載されていることがある。春秋等の中間期を基準に、ヒートポンプユニットの消費電力を割り出したもの。 年間の気温変化や貯湯タンクユニットの放熱等を考慮していないため、APFの方が実際の数値に近く正確。 |
補助金適用の機種は?
2024年8月現在、エコキュートの導入・交換時に補助金を適用できることがあります。
たとえば経済産業省の「給湯省エネ2024事業」です。
いくつかの条件を満たせば、基本額80,000円、最大180,000円の補助金がもらえます。
この条件のひとつが「年間給湯保温効率が指定の目標基準値を超えること」です。
導入するエコキュートの年間給湯保温効率が、一般地仕様なら3.0か3.2か3.5以上、寒冷地仕様なら2.7か2.9以上であれば、基本額の条件を満たせます。
必要な数値は世帯の規模やためられるお湯の容量などの性能でも変わります。
性能に応じた必要基値は下記の表を参考にしてみてください。
なお、おひさまエコキュートは基準値を満たさないものもすべて補助金対象となります。
また、給湯省エネ2024事業の補助金は、インターネット接続可能、基準値のさらに0.2以上の数値の機種、電気温水器撤去の条件を満たすことで最大180,000円の補助金を受け取れます。
※電気温水器の撤去加算補助金(5万円)は11月18日で予算が終了しました。現在の補助額は最大で8万~13万円となっています。残りの予算も少なくなっておりますので、お早めにご確認ください。
追加条件やほかの補助金について詳しく知りたい方は、エコキュートの買い替え・交換で使える補助金をご紹介!の記事もチェックしてみてください。
年間給湯保温効率が高いと何が違う?
年間給湯保温効率の効率が高いとどんな違いがあるのでしょうか?2つ紹介していきます。
電気代の節約になる
年間給湯保温効率は、数値が高いほど消費する電力が少なく、省エネに優れていることを意味します。目安ですが、0.1変われば年間約1,000円の差が生じると言われています。
例えば、年間給湯保温効率が3.6と4.2の製品を比較するとその差は0.6です。
1年間の電気代には6,000円の差が生じ、年間給湯保温効率4.2のエコキュートの方がお得になります。
エコキュートの寿命はおおよそ10年と言われているため、年間給湯保温効率3.6と4.2の製品を10年間使った場合、トータルで6万円もの差が発生することになります。
2023年4月現在、エコキュートの年間給湯保温効率は角型で3.0〜4.2、薄型で2.8〜3.1、寒冷地で2.7〜3.3、給湯専用で2.7〜3.3程度の製品が多いです。
3.2と4.2のエコキュートを比較する場合の電気料金の差は年間で1万円、10年間では10万円になります。
年間給湯保温効率と電気料金の関係をもっと詳しく知りたい方は、エコキュート選びに「年間給湯保温効率」は重要? 電気料金の違いを徹底比較!の記事も参考にしてみてください。
補助金の対象になりやすい
先にも説明したとおり、年間給湯保温効率が目標基準値を超えていると交換・導入時に補助金をもらうことができます。
申請の手間は少しかかりますが、エコキュートをお得に設置するチャンスです。
エコキュートの補助金制度は経済産業省の「給湯省エネ2024」のほか、「東京ゼロエミポイント」、「大阪府 泉大津市高効率給湯器設置補助金」などがあります。
ただし、制度によって条件や申請方法などは異なります。
業者選びや機種選びの際は、使いたい制度の詳細を確認した上で行うとよいでしょう。
実施中の補助金制度を詳しく確認したい方は、エコキュートの買い替え・交換で使える補助金をご紹介!の記事を参考にしてみてください。
エコキュートの年間給湯保温効率をメーカー別に徹底比較!
エコキュートのメーカーごとに、年間給湯保温効率を紹介します。エコキュートを選ぶときの参考にしてください。
各メーカーの年間給湯保温効率の最低値と最高値
三菱 | 2.7~4.2 |
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パナソニック | 2.7~4.0 |
ダイキン | 2.7~3.6 |
日立 | 2.8.~4.2 |
東芝 | 2.8~3.6 |
コロナ | 2.8~4.0 |
三菱エコキュートの年間給湯保温効率を比較
年間給湯保温効率が高い機種TOP3
機種名 | 年間給湯(保温)効率(JIS) |
---|---|
SRT-P376UB SRT-P376B | 4.2(ホットりたーん使用時) |
SRT-P466UB SRT-P466B | 4.0(ホットりたーん使用時) |
SRT-S376U SRT-S466U SRT-S466 SRT-S376等 | 3.8 |
三菱のハイエンドモデルであるPシリーズは、風呂熱回収機能の「ほっとリターン」を使用することで、エコキュートでもトップクラスの4.2をマークしています。シリーズ以外でも4.0に近い数値を出している機種もあるので、予算に応じてチェックしてください。
パナソニックエコキュートの年間給湯保温効率を比較
年間給湯保温効率が高い機種TOP3
機種名 | 年間給湯(保温)効率(JIS) |
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HE-JPU37KQS | 4.0(ぬくもりチャージ使用時) |
HE-JPU46KQS | 3.9(ぬくもりチャージ使用時) |
HE-JN46KQS HE-N46KQS HE-N46KQES等 | 3.6 |
パナソニックは、高効率でお湯を作れるように冷媒管の形状からこだわり、AIエコナビや真空断熱材等を用いて省エネに努めています。風呂熱回収機能の「ぬくもりチャージ」を使用することで、「HE-JPU37KQS」なら4.0、「HE-JPU46KQS」なら3.9と、非常に高い省エネ性を発揮します。
ダイキンエコキュートの年間給湯保温効率を比較
年間給湯保温効率が高い機種TOP3
機種名 | 年間給湯(保温)効率(JIS) |
---|---|
EQX37XFV | 3.6 |
EQX46XFV | 3.5 |
EQ46XFV EQ37XFV EQN46XFV EQN37XFV等 | 3.3 |
ダイキンのエコキュートは他メーカーよりも年間給湯保温効率はやや低くなるものの、それでも十分満足できる数値をマークしています。「電力抑制機能」を搭載した機種は、電気代のピーク時にかかる電力を軽減してくれます。
日立エコキュートの年間給湯保温効率を比較
年間給湯保温効率が高い機種TOP3
機種名 | 年間給湯(保温)効率(JIS) |
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BHP-FV37WD | 4.2 |
BHP-FV46WD | 4.1 |
BHP-F46WD、BHP‐F37WD、BHP‐FR46WU等 | 3.5 |
日立のエコキュートには、高い年間給湯保温効率を誇る機種が多く存在しています。貯湯タンクにウレタンクやウレタンフォームを用いている機種は、特にお湯が冷めにくい構造になっています。
東芝エコキュートの年間給湯保温効率を比較
年間給湯保温効率が高い機種TOP3
機種名 | 年間給湯(保温)効率(JIS) |
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HWH-X376HA-R HWH-X466HA-R | 3.6 |
HWH-B376HA-R HWH-B466HA-R HWH-B376HAN-R等 | 3.3 |
HWH-B566HA-R HWH-B566HR-Z | 3.0 |
東芝エコキュートも、他メーカーに劣らない年間給湯保温効率をマークしています。
近年の電力自由化を受けて、様々な電気料金プランに対応した、沸き上げ設定が可能な機種があります。お湯の使用パターンも考慮し、無駄な沸き上げを防いでくれます。
コロナエコキュートの年間給湯保温効率を比較
年間給湯保温効率が高い機種TOP3
機種名 | 年間給湯(保温)効率(JIS) |
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CHP-HXE37AY5 | 4.0 |
CHP-HXE46AY5 | 3.9 |
CHP-HXE37AY5K | 3.6 |
コロナのエコキュートは、真空断熱材や、「ES制御」を搭載した機種があり、年間給湯保温効率が高められています。ES制御は、省エネ保温や省エネ給湯回路等のことで、沸き上げと保温の効率をアップさせるコロナ独自の技術です。
まとめ
今回はエコキュートの年間給湯保温効率について詳しく解説しました。エコキュートは、年間給湯保温効率の数値が高いものほど省エネ性能に優れています。省エネや節約を気にされている方にとっては、メーカーや製品選びの重要なポイントになるでしょう。それほど差がないと思っても、エコキュートの寿命である10年単位で考えると、その差は大きくなります。各製品を比較検討して、ご家庭に合ったエコキュートを見つけてください。
急湯デポは、エコキュートの交換を専門としています。
エコキュートの交換はもちろん、できるだけ年間給湯保温効率が良い製品を選びたい場合もぜひお気軽にご相談ください。